Mamiya RB 67 という中判のフイルムカメラに関して、ボタン類・レバー類等々取扱い方がわからないといお問い合わせを沢山頂いております。同時に協会のスクール受講生の方々からも、フイルムカメラの取扱い方を写真や文章及び動画で解説したコンテンツの配信を強く要望されているので2021年度は、私が普段から懇意にしている写真愛好家の方の直接指導を仰ぎ、様々な機種を解りやすく解説していこうと決めました。一つひとつの部位を写真を撮って役割とか意味を詳しく解説していきます。
尚、私自身はレンズの修理の世界に身を置く人間で、写真撮影及びフイルムカメラを操作した経験が浅いので、Mamiya RB 67 取扱いマニュアル及び今後類似のコンテンツを配信していくにあたり、普段から懇意にしているプロの写真家の杉田先生に細かく指導を受けて、私自身も勉強しながらコンテンツを作っていく事にしました。杉田先生ありがとうございます。そして今後もご指導宜しくお願い申し上げます。
このコンテンツサイト公開の目的
私は光学機器の修理の分野の人間ですので、撮影に関しては素人の域をでません。ですから、このサイトで解説している内容で撮影が上達するいった分野のコンテンツではありません。あくまでも中判カメラの基本的な構造についての言及に留まっていますので、この点ご了承お願い致します。
このコンテンツを学習して頂きたい想定読者さんとしては、
1、これからフイルムカメラを趣味として始めてみたいと思っている方
2、フイルムカメラを商材として扱っていきたい方
を想定読者さんとして考えてコンテンツ作りをしております。あなたがもしこの何れかに該当なさる様でしたら、最後まで学習して頂き、ご自身の目標を達成して頂ければ私も幸せでございます。
レンズマウント
カメラですから、当然レンズが必要になります。この部分にマウントの規格に合ったレンズを装填します。流石にこの部位までは解説する必要性はないのかもしれませんが、とにかく全てのボタンやレバー類についてその全貌を明らかにしていきます。
マウントの形状規格にあったレンズを装填
様々な種類のレンズがこのカメラには装填可能ですが、例えばこの様なレンズを使います。このレンズ自体の構造に関しては別途サイトにて解説しますが、Mamiya RB 67というフイルムカメラを解説する際にどうしてもレンズとの操作関係も解説する必要性が出てきますので、必要な部位に関してはこのサイトで同時にお話しします。
レンズをカメラに装填してみよう!
Mamiya RB 67カメラにMamiya Macro K/L 140mm F4.5レンズを装填するとこんな感じになります。
念の為にレンズを取り付ける風景を動画にしてみました。Mamiya RB 67カメラにMamiya Macro 140mm F4.5レンズを装填・脱着します。ポイントは、装填する際はカメラとレンズのそれぞれの指標(赤マーク)を合わせます。脱着する際はカメラのシャッターチャージレバーを倒してチャージ後に取り外します。シャッターを切った状態ではレンズはロックがかかってしまい外す事ができませんので注意して下さい。
解説補足動画に関しまして
レンズの修理の分野に身を置く立場の人間なのですが、個人的な趣味で、水の研究=バクテリアの研究をしておりまして、その環境下で動画を撮影しておりますので、私の声と一緒に水の流れる音や、飼育水槽から鑑賞水槽に水を汲み上げるポンプの音が雑音として収録されてしまいました。早急にピンマイク等で対策を練りますので、このページの動画は大変お聞き苦しい収録となっております事、先ずはお詫び申し上げます。
シャッターボタン
このボタンがシャッターボタンで、シャッターチャージレバーを倒してチャージして、フイルムを巻き上げてからこのボタンを押して撮影していきます。
フイルムカメラですから、シャッターを切る度にフイルムを巻き上げる必要がありますし、シャッターを切る度にシャッターチャージレバーを倒す必要がありますので、面倒といえば面倒な操作になります。尚、フイルムの巻き上げとシャッターチャージは別々に行う必要があります。
シャッターチャージレバー
このレバーを巻き上げる方向に倒すと、シャッターがチャージされます。一回一回シャッターを切る度にチャージする必要があります。シャッターがチャージされるとチャージ前の位置にこのレバーは自動で戻りますが、時々この戻りが中途半端な位置になる傾向の個体もあります。その場合はその位置ではシャッターは切れないので、正規の位置に戻る様にもう一度シャッターチャージレバーをチャージ位置まで倒して下さい。
この位置までしっかりレバーを倒してシャッターチャージして下さい。正規のニュートラル位置にこのチャージレバーが一度で戻らない場合はもう一度チャージし直す必要があります。
シャッタースピード
フイルムカメラに限らず写真を撮影する際に操作するのがシャッタースピードです。シャッタースピードを速く設定すると暗い写真になり、遅く設定すればその分光が沢山フイルムに感光するので写真は明るい仕上がりになります。実はMamiya RB 67というフイルムカメラ本体には、このシャッタースピードを調整する機構はありません。装填したレンズ側にシャッタースピードをコントロールするダイヤルがありますので、そのダイヤルでシャッタースピードを調整する事になります。
赤丸の指標に今写真ではシャッタースピード調整ダイヤルは【8】の位置に調整しています。調整ダイヤルはMamiya Macro KL 140mm F4.5というレンズの場合はタイム=Tから順番に1・2・4・8・15・30・60・125・250・400の数値で調整できる構造になっています。勿論他の機種同様で【8】とは8分の1秒の事を意味します。シャッターボタンを切ると音的には「ガシャン!」というメトロな機会音がした後に、「ピン!」という少し高音目の音がしてシャッターが切れます。一番速度の遅い【1】=1秒でテストしてみると、二種類の音が体感できます。シャッタースピードを速めていくとこの二種類の音はどんどん間隔が狭くなっていきますので、【15】=15分の1秒くらいからは人間の耳では同時に聞こえると思います。この感覚も文章では伝えにくいので動画を撮影して解説します。
絞り羽調整ダイヤル
写真を撮影する際に設定するもう一つの大切な機構が絞り羽調整機構です。この機構は他のレンズ同様レンズ側で調整する仕組みになっています。正式名称は絞り羽調整ダイヤルと呼びますが、この調整ダイヤルはシャッタースピード調整ダイヤルの隣に組み込まれています。
絞り羽調整ダイヤル指標は縦長の四角形形状になっています。この写真では今絞り羽調整ダイヤルは【32】に設定しています。32ですから一番絞られた状態になります。シャッタースピードと絞り羽調整ダイヤルを駆使して思い通りの写真を撮影して下さい。
絞り羽調整ダイヤルとシャッタースピード調整ダイヤル
ファインダー
Mamiya RB 67はカメラですから当然被写体を見るファインダーがあります。二眼フィルムカメラと同じで、カメラ本体上部にそのファインダーがあります。撮影しない時はファンダ―カバーは閉じた状態で保管します。
ファインダーカバーを開けると、いかにもこれから撮影するゾ!といった雰囲気になります。このファインダーには二つの特徴があります。
1、ファインダーには被写体が映りますが、フイルムを巻き上げた状態でしか画像は映りません。
1、そして、ファインダーに映し出された画像は左右が反転して映ります。
この説明も動画で補足解説しておきます。
こんな風に被写体がファインダーに映ります。明るさとピントを調整してシャッターを切っていきます。
ファインダー内部
ファインダーカバーを開けるとファインダー室が見えます。その中には被写体を映し出すスクリーンと丸いレンズが組み込まれています。
この丸いレンズは取り外し可能です。この丸いレンズは拡大鏡の意味合いがあって、老眼の方や近視の方様にそれぞれ様々な拡大鏡が、一般的なレンズのフイルターの様に用意されています。下の写真の様に【ー1.5】と書かれている拡大鏡は近視の方用仕様になっています。逆に【+1.5】と書かれている拡大鏡は老眼の方仕様になっています。この拡大鏡のお蔭でファインダースクリーンがより見やすくなるように設計されています。この機構もアナログながらも優れていると個人的には感心しました。
このファインダーに写し出された被写体を見ながらピントを合わせてシャッターを切ります。
ファインダー内拡大鏡のミラーUP
デフォルトで組み込まれているファインダーの蓋を開けたら、拡大鏡(丸いレンズ)のミラーUPをして下さい。
フォーカス調整機構
実際に撮影する際、当然ですが被写体のピントを合わせた状態でシャッターボタンを押します。このフォーカス調整はMamiya RB 67というカメラの場合は、蛇の目状態の機構を前後させてアナログでピント合わせを行います。この所作がなんともレトロで、実際に被写体に向き合っているという臨場感を醸し出してくれます。撮影が上手い下手関係なく、現代の便利なデジカメやスマホ撮影では決して味わえない手ごたえがあります。この蛇の目を前後に動かす為には調整ダイヤルを回して調整していきます。このフォーカス調整ダイヤルにはロックレバーが付いていますので、動かす時は、このロックレバーを解除方向に倒します。そして、ピント位置が決まったら、ロックレバーをロック位置で固定してシャッターを切ります。
この写真の位置だとロックがかかった状態ですので、手前フォーカス調整ダイヤルを回しても動きません。
こんな写真の様にフォーカス調整ダイヤルを操作してピントを合わせていきます。シャッターを切る際にはフォカス調整ダイヤルロックレバーをロック位置に倒してロック状態にします。
Mamiya RB 67 ファインダーとフォーカス調整ダイヤル
フイルムパック
Mamiya RB 67で撮影をする際には、フイルムを装填する必要があります。当然ですが6×7サイズのフイルムを用意します。そのフイルムを収納するBOXがMamiya RB 67カメラの後ろに装備されています。このBOXの事をフイルムパックと言いますが、フイルムバッグと呼ぶ人もいます。どちらにしてもフイルムを入れ替えたり、新規で装填する為にはこのフイルムパックをカメラ本体から取り外す手順になります。
フイルムパックの外し方
フイルムを入れ替えたりしたい時はこの写真の様にフイルムパックを本体から取り外します。取り外す為にはカメラ本体底部にある金属のレバーを引き上げます。
このレバーを倒すとカメラ本体とフイルムパックが二つに分かれます。
この作業も少し解り難いので動画で補足解説します。
フイルム巻き上げレバー
このレバー状態だとシャッターは切れます(切替レバーが赤丸位置表示)
このレバー状態だとシャッターは切れません(切替レバーが赤丸位置非表示)
フイルムパックをカメラ本体から外してフイルムを装填していきます。この工程は写真と文章だと表現しにくいので動画を撮影して解説したいと思います。
フイルム室の解説
ここでは本当はフイルム装填手順を動画で解説したかったのですが、生徒さんから預かったカメラでしたので、既に120フイルムが入っていたので、承諾を得ないで勝手にフイルムを抜く事ができませんでした。 Mamiya RB 67カメラの様なフイルムカメラには32mm用のフイルムカメラと違ってフイルムの仕様が違います。サイズの違いは当然ですが、フイルムパトローネがありません。フイルムで全部撮影が終わったら新しい120フイルムをフイルム室の向かって右側にセットします。そして、向かって左側の空のスプールに巻き付けます。そのフイルムで撮影が終わるごとにこの所作を繰り返します。
120フィルムはスプール(軸)に遮光紙を裏面に重ね合わせて巻きつけたもので、セッテイングの際には遮光紙が緩んで露光しないように注意して下さい。新しいフイルム装填する際は、写真の様に新しいフイルムを向かって左側に装填し、向かって右側には空のスプールを装填しフイルム感光面を丁寧に巻き上げていきます。
撮影後は、巻上げ側のスプールに巻きつけられるので、巻き戻しの必要はなく、巻き切った後は、撮影済みシールが出てくるので、それを貼って、ゆるまないように固定します。残った空のスプールは捨てないで、次に巻き上げ用スプールとして使っていきます。この循環を繰り返します。
フイルム巻き上げレバーとシャッターロックレバー
Mamiya RB 67というカメラを研究してみた感想
中判カメラ用のレンズは日々修理の依頼があるので頻繁に手に取っていて馴染みが深いのですが、カメラ本体は修理の専門外という事で今まで関わった経験が少なかったので、今回自分自身も勉強しながら杉田先生の指導を仰ぎながらコンテンツとして配信できる経験は貴重な時間となりました。全く電気系を持たないこのカメラは随所に工夫が施されていて、一つひとつの機構に感心しました。このWEbサイトの内容が読者さんの疑問に答えられる内容である事を祈ります。
Mamiya RB 67というカメラを今後商材として取り扱う予定の生徒さんは、このWebサイトの内容をよく理解して、信頼されるセラーとして活躍していかれる事を願っていますので、何か質問がありましたらお気軽にお問い合わ下さい。又、他にも構造を知りたい機種がありましたらその都度お知らせ下さい。私自身も勉強しながらコンテンツ化していきます。
アームシャッターグリップ
いつの時代の商品でもデフォルトとしてのスタンダードな商品の他にオプションで様々なアイデアグッズがあるものです。このアームシャッターグリップというパーツも当時はかなり人気があった様で左手だけでどこまで支え切れるかは疑問が残りますが紹介させて頂きます。
Mamiya RB 67というカメラは、規格では右手人差し指でシャッターボタンを押す構造になっていますが、このアームシャッターグリップを使うと、シャッターボタンが左手のどこかの指で操作せきる様になります。そうなると、右手が完全にフリーになるので、フォ-カス調整ダイヤル操作等かなり融通が利くようになるのは利点です。只、カメラ本体とレンズを合計するとかなりの重量になるので、実際私もこのグリップを付けて実験してみましたが、かなり重いです。他に何か工夫があったのかもしれませんが、左手のみでこのカメラを支えていられる時間は数分だと思います。
ファインダー交換
Mamiya RB 67カメラは用途や好みに応じてファインダーを交換する事ができます。デフォルトでは上からのぞきこむ様なタイプのファインダーが付けられていますが、例えばプリズムファイダ―と交換する事が可能になっています。
この様に操作方法はとても簡単です。
ポラロイドフイルムパック
デフォルトでは一番スタンダードなフイルムパックが付いていますが、このBOXは用途に応じて他のBOXにも対応・交換ができる様になっています。例えばポラロイドフイルムパックにも付け替える事が可能です。
フイルムパック遮光銀プレート
Mamiya RB 67というカメラには、フイルムパック(BOX)に遮光銀プレートが付いています。製造から何十年も経過しているので、紛失してしまっている個体もあります。撮影しない時でフイルムが未だ残っている場合に、この遮光銀プレートのお蔭でフイルムが感光するのを防いでくれます。尚、このプレートが装填時にはシャッターは切れない構造になっていますので注意が必要です。
最後に
もしも生徒さんが光学機器を商材としてビジネスをする場合は、次の事柄を心がけて下さい。
1、販売する商品の販売時状態説明をキチット文章化する
2、どんな質問にも答える
3、返品は受け付ける
4、構造が解らない機器に関しては当スクールで指導を受けてから販売する
5、修理してから販売する
尚、Mamiya RB 67というカメラの特徴として、現代主流のデジカメと違って安易にシャッターを切らない事を前提とした構造になっています。従いまして、色々な部位にシャッターが切れない仕掛けが施されています。当時のストロボは、一回光るとそれで使い捨てでした。フイルムも決して安価ではない商品ですから、一枚一枚の写真撮影には相当な気遣いと気合が入っていたと思います。なので、このシャッターボタンロック機能が複数個所ある事を念頭に置いてこの機種の機能検査をする様にして下さい。
確認テスト
Mamiya RB 67というカメラというカメラのシャッターロック構造は4つの仕掛けが組み込まれています。その部位を説明できますか?答えはこの動画に収録しておきました。この動画だけ閲覧にはパスワードが必要になります。最後のテストに答えてくれた生徒さんだけにパスワードを教えたいと思います。
想定していた以上に、生徒さんからのお問い合わせが多く、皆さんMamiya RB 67カメラに関する構造情報が欲しかった事が伺えます。お問い合わせに対するこちらの対応が少し大変なのでパスワードを開示します。すぐに回答動画を見ないで、自分で考えてから閲覧する様にして下さい。
Pass Word :kotae
2020年度は世界中が未曾有の大変な一年間でした。2021年・新年も宜しくお願い申し上げます。生徒さんの目標=夢実現の為に、修理技術面はもとより、陰ながらあらゆる分野で支援させて頂きます。
2020年12月吉日(一社)日本レンズ協会 代表理事 田斉健輔