1968年に発売されたこのレンズは、レンズ構成5群7枚の機種で、このレンズの発売当時は本格的にマルチコートへ向かう一歩手前の時期でした。コーティングの色合いは各社独特の特徴の一つでですが、Minoltaの場合は緑色でした。当時のMinolta Colorともいえるグリーンの二層膜コートを施した最後のレンズがこのMinolta MC Rokkor-PG 58mm F1.2でした。
Minoltaのアクロマチックコーティングは、グリーンの光彩を放つコーティング層として蒸着されていることから、緑のロッコールレンズと、写真愛好家の間で呼ばれているのは周知の事実です。レンズブランド名のROKKOR=ロッコールは、俗に鷹の目Rokkorと称されています。今でも、この機種は人気がある様ですが、やはり手入れをしていない個体は、カビの付着が酷いものが多い様に感じられます。
レンズ検査ご依頼までの流れ(経緯)
今回のご依頼はメールにて受け付けましたので、その内容を簡潔にまとめました。
最近、オークションで、Minolta MC Rokkor-PG 58mm F1.2というレンズを買いました。届いてみるとカビだらけで、しかも絞り羽が動きません。出品者に確認したところ、ジャンク品なのでという返事しか返ってきません。この様な状態のレンズは修理できるものなのでしょうか?前から欲しかったレンズなので、何とかなる様でしたらお願い申し上げます。費用は、できれば15,000円くらいだとありがたいです。
機種名 | Minolta MC Rokkor-PG 58mm F1.2 |
シリアルNO | 2557525 |
付属品 | 前後キャップ |
課題(所有者さん見解) | 絞り羽根とカビ |
修理報告
先ず、絞り羽ユニット機構の固着ですが、その原因はお電話にてもお伝え致しましたが、フォーカス調整機構螺旋状部グリスが鏡胴内壁を伝わって汚れを巻き込んで、絞り羽ユニット機構に付着してしまう現象です。付着していた油分を含む汚れ除去しましたので、その動作は復元しています。
石の様に固まっていた汚れも時間をかけて除去しました。その為、納品に時間がかかってしまいました。この点、ご了承お願い致します。次に、光学系付着部ですが、鏡胴内部全てのレンズ表面に付着していた埃・カビ除去しました。カビの種類は、点カビ・菌糸状カビ・雲状カビでした。
レンズ全体としての光学的なクリアー度は復元しています。只、付着していたカビ全てが腐蝕カビで、除去後の無数の腐蝕カビ痕が随所に残ります。又、レンズが綺麗になった分、レンズ表面に擦れ傷も目立ちます。この様に、この固体本来の姿が露わに目視できます。この点もご了承お願い致します。
フォーカス調整機構トルク感がやや重めですが、今回は処置しておりません。明るくて、希少なレンズです。未使用期間が長期化しない様に、今後も同様大切にご所有下さい。尚、整備工程にて撮影した数枚の写真も貼付しましたので、併せてご参照下さい。
納品に関しまして
※お願い・・・銀行お振込み頂きましたら、その旨メールにてお知らせ頂けますと幸いでございます。確認後速やかに納品させて頂きます。
発送方法 | クロネコ着払い便 |
送り状NO | 別途メールにて報告 |
配送状況 | お荷物追跡システム |
ご決済に関しまして
整備費 | 14,000円(税込) |
決済方法 | 銀行振り込み |
お願い | ご決済後メールにてお知らせ下さい |
お振込み先銀行
・みずほ銀行
・五香支店
・口座名義 一般社団法人 日本レンズ協会
・普通口座
・口座番号 1715154
ご縁ございましたら、今後もお付き合い・ご指導宜しくお願い申し上げます。
(一社)日本レンズ協会 代表理事 田斉 健輔
依頼者様から頂いたお礼のメール
田斉様、お世話になっております。本日レンズ受け取りました。丁寧な対応ありがとうございました。絞りが動くようになり、F4あたりの描写に感動しました。このオールドレンズは現代のレンズのひけをとらないものなのですね。大切にします。明日、仕事の合間を見て入金致します。ありがとうございました。