Minolta RF Rokkor 250mm F5.6 修理記録

Minolta RF Rokkor 250mm F5.6という機種はミラーレンズの一種で、レフレックスレンズとか、反射レンズなどと呼ばれる望遠レンズに分類される。一般的なレンズは屈折光学系と呼ばれているが、ミラーレンズは、ミラーの反射作用を応用して光を収束する。鏡筒内部には2枚のミラーが組み込まれていて、レンズ内に入った光はまずレンズ鏡胴内部奥の1枚目のミラー（凹面鏡）で反射され、次に前玉の内側に貼られた2枚目のミラー（凸面鏡）で更に反射され、1枚目のミラー中央の穴の中にある屈折系の半径が小さなレンズを通り撮像素子やフィルムに結像するという仕組みになっている。懇意にしている写真家に聞くと、ミラーレンズはフレアにクセがあり、殆どのミラーレンズで多かれ少なかれ発生するそうだ。その為、コントラストが低くキレの良い撮影は難しいという。

ミラーレンズの歴史を紐解くと、MFフィルムカメラ時代に大いに人気を博し、特に北米を中心に様々なブランドのミラーレンズが発売された経緯がある。今回修理依頼のMinolta RF Rokkor 250mm F5.6という機種は、250mmとミラーレンズとしては比較的短い焦点距離ではあるが、大きさも中望遠レンズほどで、ハンドリングがとても良くて、携帯には便利だ。所有者さん曰く、肝心の写りも大変に良く、コントラストが高くヌケのよい描写が得られるそうです。更にシャープネスも上々で、使いやすい焦点距離やミラーレンズとしては文句の付けどころのない写りなどから中古市場でも人気は高く、元々製造本数が少ない為、店頭に並ぶことは少ないレンズで、大切に所有しているとの事。今後も趣味のカワセミの撮影で活躍してもらいたい仲間のレンズになっているとのお話をお聞きする事ができました。

レンズ検査ご依頼までの流れ（経緯）

今回のご依頼はメールにて受け付けましたので、その内容を簡潔にまとめました。

昔はカワセミ撮影のクラブに入っていて毎週の様に撮影に出かけていたのですが、引っ越し等バタバタしていてしばらく放置していました。久しぶりに撮影してみたところ、何だか映りがハッキリしない様な感じて、レンズも汚れてしまいました。購入当時は結構高価なレンズで、今後はマメに使いたいと思っていますので、是非綺麗にしてあげて欲しいと思っております。レンズを修理に出すのは初めてなので、色々と教えて下さい。

機種名	Minolta RF Rokkor 250mm F5.6
シリアルNO	1006375
付属品	前後キャップ、フード
課題（所有者さん見解）	久しぶりに撮影してみたところ、何だか映りがハッキリ しない様な感じて、レンズも汚れてしまいました。

修理報告

同梱されていたお手紙も拝読致しました。曇りの原因は鏡胴内部レンズ表面と鏡面に付着していたカビでした。カビの種類は主に点カビと雲状カビでした。処置後のレンズ全体としての光学的なクリアー度は復元しています。付着していたカビが腐蝕カビで、除去後の腐蝕痕が随所に残ります。点カビの腐蝕痕は点状にキラキラ光って見え、雲状カビの腐蝕痕は薄く白い拭き斑の様に目視できると思います。この点ご了承下さい。全体的には状態の良い個体です。今まで同様大切にご所有下さい。お願い致します。反射鏡の腐蝕はありませんでしたので、復元状態は上々と思います。お電話にてもお話ししましたが、やはりレンズは未使用期間が長期化するとカビ等随所に支障をきたします。無理にない範囲でなるべく頻繁に使ってあげて下さい。又、今回の整備工程にて撮影した光学系付着物及びレンズ鏡胴内部の写真もご参照下さい。

参考写真

納品に関しまして

※お願い・・・銀行お振込み頂きましたら、その旨メールにてお知らせ頂けますと幸いでございます。確認後速やかに納品させて頂きます。

ご決済に関しまして

納品後所有者さんから頂いたメール

田斉様、レンズ受け取りました。綺麗な状態にして頂きまして誠にありがとうございました。試し撮りしてみましたが、コントラストも良くなってとても嬉しいです。もう歳なので頻繁には山に入れませんが、近くの風景等でマメに使っていきたいと思います。他にもフイルム時代のレンズを持っておりますので、お小遣いと相談しながら少しづつ修理をお願いしようと思っていますので、その節は宜しくお願い致します。

こちらこそ、ご縁ございましたら今後もお付き合い・ご指導宜しくお願い申し上げます。
（一社）日本レンズ協会 代表理事 田斉 健輔