Nikon HN-27 Reflex-Nikkor 500mm F8 修理記録

このレンズは、1985～87年の期間中に販売されていました。Reflex＝レフレックス＝反射という意味で、レンズ鏡胴内部に複数枚の反射鏡＝鏡が組み込まれています。レンズ対物側から入射した光が、レンズ鏡胴内部で1.5往復して、カメラ撮像素子に届きます。

この構造の為に超望遠レンズにもかかわらずレンズ鏡胴全長が短く、軽量になるので、手持ちでも撮影できるメリットがありますし、総重量もそこまで重くありませんので、携帯性にも優れています。また、各収差が少ない為、コントラストが高く、しっかりとした描写が実現可能になります。

ボケには最大の特徴があり、いわゆるリングボケになります。背景のボケを好まない写真家の方は、このボケと上手く付き合わないとうるさい写真になってしまうそうです。リングボケが嫌いという理由でReflexタイプのレンズをNGとするカメラマンさんもいらっしゃると聞きました。

本来は遠くにあるものを近くにというのが、望遠レンズの主な使用目的ですので、普段から懇意にしている撮影家の方のお1人は、主にこの機種でカワセミを撮っていらっしゃいます。接写の場合は、最短撮影距離が1.5mですから、近くのものをファインダーに入れると圧巻で、感動的な一枚が撮れるそうです。

私は写真家ではないので、修理の分野からこの機種を解説すると、構造は至ってシンプルな機種になります。フォーカス調整機構という駆動系と、複数枚の硝子部位の光学系の二つの構造がレンズ鏡胴内部に組み込まれています。修理ご依頼内容は。カビ等の光学系付着物除去依頼が殆どになります。

レンズ検査ご依頼までの流れ（経緯）

今回のご依頼はメールにて受け付けましたので、その内容を簡潔にまとめました。

こちらからのお返事

お問い合わせありがとうございます。今回お問い合わせ頂きました機種は対物側レンズ押えリングが固く固着している固体が多く散見されます。順調にレンズ鏡胴内部にアクセスできればカビ等光学系付着物除去は可能なケースはあります。カビ除去後の腐蝕痕が残る事も懸念されます。過去の修理記録台帳を紐解きますと同機種にて概ね12,000円（税込）くらいかかっております。いずれに致しましても、M様の大切な光学機器です。業者さんの選定等々、充分にご検討下さい。
（一社）日本レンズ協会 代表理事 田斉健輔

修理報告

レンズ鏡胴内部に組み込まれている硝子部位及び反射鏡及び鏡胴内壁等、全ての部位に付着していたカビの除去処置施しました。レンズ全体としての光学的なクリアー度は復元しています。カビの種類は主に点カビと菌糸状カビでした。

レンズ鏡胴内部へのアクセス手順は至ってシンプルで、上記写真の様な順番で、各部位を取りはずしていきます。反射鏡が裏側に付いた硝子玉を取り外すのに、固定リング（金属）を三つ取り外す必要があります。

この様に、硝子部位はカビの除去処置にて綺麗に復元しています。併せて、反射鏡及び鏡胴内壁等に付着していたカビも除去致しましたので、今後未試用期間が長期化しなければ、カビの再発のリスクは少ないと判断致します。カビそのものは現段階で全て除去しましたが、除去後の腐蝕痕がぱらぱらと随所に残ります。この点ご了承お願い申し上げます。

カメラ本体に装着して、どこか遠方の撮影場所に移動しなくても、テレビをご自宅で見ながらでも構いませんので、レンズ単体を手に取って頂き、レンズのフォーカス調整ダイヤルを回してあげたり、自然光を入射させてあげるだけで、鏡胴内部に空気の流れが発生し、カビの再発防止には有効ですので、宜しければご参照下さい。レンズ外観及び駆動系共々、とても状態の良いレンズです。今まで同様大切にご所有下さい。

納品に関しまして

※お願い・・・銀行お振込み頂きましたら、その旨メールにてお知らせ頂けますと幸いでございます。確認後速やかに納品させて頂きます。

発送方法	クロネコ発払い便
送り状NO	別途メールにて報告
配送状況	お荷物追跡システム

ご決済に関しまして

整備費	12,000円（税込）
送料	930円（税込）
合計	12,930円
決済方法	銀行振り込み
お願い	ご決済後メールにてお知らせ下さい

ご縁ございましたら、今後もお付き合い・ご指導宜しくお願い申し上げます。
（一社）日本レンズ協会 代表理事 田斉 健輔

納品後依頼者様からお礼のメールを頂きました

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