Nikon Nikkor 50mm F1.4 修理報告

今回のNikon Nikkor 50mm F1.4レンズの様に、あまりにも放置（未試用）期間が長期化した個体は手遅れが否めない状態になってしまう事があります。特に、カビの付着が腐蝕カビまで成長してしまうと、カビそのものの除去はできても、除去後の腐蝕痕がクッキリと残ります。付着物は除去できるので、光学的な数値は改善しますが、レンズ鏡胴内部を目視した際、この腐蝕痕の影響で処置前後の改善が気持ち的に感じられないと思います。

レンズ検査ご依頼までの流れ（経緯）

今回のご依頼はメールにて受け付けましたので、その内容を簡潔にまとめました。

学生時代に写真部で使っていたオールドレンズを何十年かぶりで取り出してみると、全部のレンズがカビだらけで驚いています。最新のカメラやレンズには興味がなく、昔のレンズで何とか撮影をしたいのでカビをとって頂きたくメールしました。完全な復元は期待していませんので、衛生的にもレンズを綺麗にして下さい。幾つもあるのですが、先ずは50mm F1.4のレンズからお願いしようと思っています。

機種名	Nikon Nikkor 50mm F1.4
シリアルNO	5104513
付属品	フロントキャップ
課題（所有者さん見解）	全部のレンズがカビだらけで驚いています

修理報告

お電話にてもお話ししましたが、この個体は手遅れ感が否めません。未試用期間が長期化していた為、付着していた全てのカビが腐蝕カビで、カビそのものの除去はできていますが、除去後の無数の腐蝕痕が随所に残ります。この点ご了承お願い致します。フォーカス調整機構関連螺旋状部、汚れは除去しましたので、固着していた状態と比較すると、軽めには復元しましたが、ムラが残ります。この点もご了承お願い致します。やはり、光学機器は未試用期間が長期化しますと、随所に支障をきたします。今後のご所有に際しまして、ご配慮下さい。尚、整備工程でいくつか写真を撮りましたので併せてご参照お願い致します。