Nikon Series E 35mm F2.5 修理記録

アイキャッチ画像＝写真の様に、このレンズはNikon製なのにNikkorという種別銘柄表示がされていないモデルの機種になります。日本光学が初めて造ったプラスティック外装のカメラニコンEM用のセットレンズとして世にデビューしました。現在も中古市場では、35mmシリーズとして三つのモデルが流通しています。今回お預かり致しましたレンズは、向かって右側のモデルになります。レンズ仕様書の概要欄には、1980年 日本光学製 ニコンEM用 広角レンズと書かれていますので、 Nikon EMフイルムカメラの広角レンズとして開発されたレンズ、という位置付けになるのだと思います。

小型軽量なEMに合うように設計されたEシリーズのレンズは、単焦点レンズが5本、Zoomレンズが3本、合計8本製造されています。特に、ボディとセット販売されていたSeries E 35mm F2.5は装着した時のバランスが良く、35mmという焦点距離も使いやすい一本だったそうです。

単焦点	Zoom
Series E 28mm F2.8	Series E 36-72mm F3.5
Series E 35mm F2.5	Series E 75-150mm F3.5
Series E 50mm F1.8	Series E 70-210mm F4
Series E 100mm F2.8
Series E 135mm F2.8

きっと、この当時にNikon EMフイルムカメラを愛用した写真家は、全ての交換レンズを所有しながら、撮影ライフを満喫していたのだと想像します。Nikonの小型一眼レフEMフイルムカメラは、当時リトルニコンの愛称で親しまれ、女性を中心としたフィルムカメラ初心者をターゲットに作られたそうです。丸くて可愛いデザインとシンプルな操作性が魅力のカメラでした。

発売当時は、Nikonがとうとうプラスチックボディを作ったと、評判は良くなかったらしいのですが、小型で軽量でありながら、Nikonらしいしっかりとした機構から、段々とNikon EMは、リトルニコンの愛称で親しまれるようになったそうです。フィルムカメラ初心者をターゲットに開発された仕様の為、ピントを合わせてシャッターを押すだけで、誰でも一眼レフの面白さを損なわずに楽しく写真が撮れるような仕様の仕組みになっています。適正露出という難しいハードルを低くしたモデルの誕生でした。今回お預かり致しましたレンズは、こんな時代背景の元誕生しました。

レンズ検査ご依頼までの流れ（経緯）

今回のご依頼はメールにて受け付けましたので、その内容を簡潔にまとめました。

今回お預かり致しました機種

整備報告

フォーカス調整機構螺旋状部グリスが、レンズ鏡胴内壁伝わって、汚れを巻き込んで、絞り羽ユニットBOXに付着していたのが、絞り羽が動かない主な原因でした。汚れを除去しましたので、その動きは復元しています。絞り値から解放値まで全領域にてスムースに駆動しています。

Nikon Series E モデルは、カメラ同様レンズも素材がプラスチックでできています。修理の分野では、この素材のレンズは、鏡胴内部にアクセスする工程で、取り外したい部位が固着している時に、固着緩和溶剤を使う事ができないので、その点が難しい機種なのですが、今回は全てのアクセスが順調にいきました。

光学系付着物に関しましても、鏡胴内部に組み込まれている全ての硝子部位表面に付着していた埃・カビ全て除去できております。レンズ全体としての光学的なクリアー度は復元しています。これからの撮影ライフ楽しんで下さい。

納品に関しまして

※お願い・・・銀行お振込み頂きましたら、その旨メールにてお知らせ頂けますと幸いでございます。確認後速やかに納品させて頂きます。

発送方法	クロネコ発払い便
送り状NO	別途メールにて報告
配送状況	お荷物追跡システム

ご決済に関しまして

整備費	8,000円（税込）
クロネコさん送料	埼玉県（一律）＝930円（税込）
決済方法	銀行振り込み
合計	8,930円
お願い	ご決済後メールにてお知らせ下さい

ご縁ございましたら、今後もお付き合い・ご指導宜しくお願い申し上げます。
（一社）日本レンズ協会 代表理事 田斉 健輔