Olympus G-zuiko Auto-S 40mm F1.4 修理記録

Olympus G-zuiko Auto-S 40mm F1.4

昨年くらいまでは、修理の依頼があったレンズを修理して、その整備内容をコンテンツ化して、ご依頼者様に報告しつつ、納品するというスタイルを維持してきましたが、該当レンズが生まれた歴史的な背景とか、直接は修理に関係のない物語的な事柄にも配慮しながら、昔を想い描く様なスタイルで整備する姿勢が必要なのかな?という想いで最近は人様の大切にしているレンズと向き合う機会が多くなってきた様な気がします。

私は、光学機器の修理の世界に身を置く人間で、撮影家ではないので、レンズの構造以外の知識に関しましては、普段から懇意にしている写真家の方に、その都度電話をしながら、レポートをかいております。今回お預かりしましたOlympus G-zuiko Auto-S 40mm F1.4というレンズは、 Olympus PEN というフイルムカメラの中の、Fシリーズ時代に交換レンズとして製造・販売されました。

Olympus Pen FT
Olympus Pen FT

Olympus PEN Fシリーズは、 Olympusが1960年代に発売した、ハーフサイズのフィルム一眼レフカメラになります。ハーフサイズカメラとは、画面サイズが35mmフィルムカメラの半分で、フイルムを購入して、2倍の枚数撮影できる規格のフイルムカメラの事を意味します。こういう規格のカメラが開発されたという事は、当時はこの様な写真家の声があったという事なのでしょう。

フルサイズとハーフサイズ

本当に、こんな製造にまつわる経緯を勉強していると、人間って何か新しい世界を切り開くのが好きな生き物なのだナーとつくづく感じてしまいます。2倍の枚数が撮れる経済性が特徴だったハーフサイズカメラなのですが、ハーフサイズのフィルムカメラのなかでも、一眼レフカメラは実質的には、このPEN Fシリーズが唯一無二の存在だったそうで、今でもマニアの写真家の中では人気のある機種として愛用されています。今回修理ご依頼のあったOlympus G-zuiko Auto-S 40mm F1.4というレンズは、そんな時代にみんなから愛されたレンズだったのですね。

レンズ検査ご依頼までの流れ(経緯)

今回のご依頼はメールにて受け付けましたので、その内容を簡潔にまとめました。

ご依頼者様から頂いたメール

最近友人から進められて、写真に興味を持ち始めたのですが、父が昔使っていたカメラを譲ってもらいました。Olympus Pen FTと書いてあるカメラで、レンズも付いています。流石にフイルムは難しそうなので、デジカメでもレンズは使えると聞いたので、このレンズを綺麗にして撮影してみたいと思っております。こういうレンズの修理は可能なのでしょうか?大丈夫の様でしたら、是非お願い致します。レンズに関してもあまりよく解らないのですが、カビだらけの様な気がします。

今回お預かり致しました機種

Olympus G-zuiko Auto-S 40mm F1.4 付属品
Olympus G-zuiko Auto-S 40mm F1.4 付属品
機種名Olympus G-zuiko Auto-S 40mm F1.4
シリアルNO140271
付属品写真の様に一式
課題(所有者さん見解)レンズを綺麗にして欲しい
ご希望予算時にナシ

整備報告

ご丁寧に、セットで丸ごと送付頂きましたが、当協会はレンズ整備専門ですので、カメラ本体の方は不具合があったとしても、整備できません。この点先ずはご了承お願い致します。全てのレンズ表面に付着していた埃・カビ・昆虫除去しました。レンズ全体としての光学的なクリアー度は復元しています。付着していたカビの内、点カビが腐食カビで、除去後の腐食痕が随所に残ります。この点、ご了承下さい。

又、幾つかのレンズ表面に傷があります。お電話にてもお伝えしましたが、稀に昆虫がレンズ鏡胴内部に侵入してそのまま★になってしまっているレンズがあります。虫が混入する様な撮影環境だったのでしょうか?いずれに致しましても、納品時付着物はありませんのでご安心下さい。フォーカス調整機構及び絞り羽ユニット機構の駆動系も、必要な処置施しておりますので、今後しばらくは快適に使えると思います。

このレンズの取扱い及び必要となるマウントアダプターに関しましては、ご自身で不明なところは、いつでもこちらにお気軽にお問い合わせ下さい。若しくは、身近におられるお父様に聞かれるのが最善かと思います。レンズの様な光学機器は、未使用期間が長期化しますと、カビが発生したり、駆動系部位に支障をきたします。なるべく頻繁に使ってあげて下さい。宜しくお願い申し上げます。整備工程にて撮影した数枚の写真UPしておきます。併せてご参照下さい。

Olympus G-zuiko Auto-S 40mm F1.4 雲状カビと点カビ
Olympus G-zuiko Auto-S 40mm F1.4 雲状カビと点カビ=除去前の写真
Olympus G-zuiko Auto-S 40mm F1.4 解放時
Olympus G-zuiko Auto-S 40mm F1.4 解放時

レンズ鏡胴外周のガムテープは、絞り羽調整ダイヤル管がずれない様にしている対処策になります。向こう側に見える茶色の物体は虫です。勿論除去しました。

Olympus G-zuiko Auto-S 40mm F1.4 絞り時
Olympus G-zuiko Auto-S 40mm F1.4 絞り時
Olympus G-zuiko Auto-S 40mm F1.4 無数の点カビと昆虫の死骸
Olympus G-zuiko Auto-S 40mm F1.4 無数の点カビと昆虫の★骸 =除去前の写真

納品に関しまして

※お願い・・・銀行お振込み頂きましたら、その旨メールにてお知らせ頂けますと幸いでございます。確認後速やかに納品させて頂きます。

発送方法クロネコ発払い便
送り状NO別途メールにて報告
配送状況お荷物追跡システム

ご決済に関しまして

整備費15,000円(税込)
クロネコさん送料山形県(一律)=930円(税込)
決済方法銀行振り込み
合計15,930円
お願いご決済後メールにてお知らせ下さい
お振込み先銀行

・みずほ銀行
・五香支店
・口座名義 一般社団法人 日本レンズ協会
・普通口座
・口座番号 1715154

山田 太郎の様にご記入下さい

ご縁ございましたら、今後もお付き合い・ご指導宜しくお願い申し上げます。
(一社)日本レンズ協会 代表理事 田斉 健輔

 

kensuke tasai と申します。 光学機器の修理を主たる業務としております。 関連コンテンツも並行して配信させて頂いておりますので、リクエストございましたら、お気軽にお問い合わせ下さい。