Olympusのフイルムカメラには、その時代時代で、色々な機種が製造されてきました。その内のOMシリーズの初期の頃に、標準レンズとして、Olympus OM G-Zuiko AS 50mm F1.4は装填されていました。いわば、Olympusのフラッグシップ的な機種でした。Olympusレンズと他メーカー機種を比べてみますと、絞り羽調整ダイヤルが、Olympusレンズの場合、対物側に組み込まれている構造のものが多く、実写の際の取扱い時はあまり違いはないとは思いますが、修理する場合はこの箇所の構造を理解した上でレンズ鏡胴内部にアクセスする必要があります。
今回、ご依頼頂きました経緯も、この構造に直接関係していて、構造さえ理解していれば、ご自身で整備の目的は達成できたと思います。レンズの機種名が刻印されている対物側ユニットレンズを押えている化粧板を外すと、絞り羽ユニット機構の調整ダイヤルの三つの部位が同時に緩んでしまいます。構造が解っていれば、緩んでもいいのですが、スプリングとベアリングが紛失しない様に丁寧に扱わないと、再組立時に混乱してしまいます。今後もしご自身で整備する機会がございましたら、この点注意して下さい。
レンズ検査ご依頼までの流れ(経緯)
今回のご依頼は電話にて受け付けましたので、その内容を簡潔にまとめました。
内部にあるホコリとカビの様なものを取ろうと思って、レンズ先っちょのリングを回してみたら、小さな玉が落ちてきて、慌てて元に戻したら、絞り羽が動かなくなってしまいました。これ以上は自分ではできないので、何とか元の姿に戻して下さい。落ちてきた部品はこお玉だけだと思います。無理言って申し訳けございません。宜しくお願い申し上げます。中途半端な状態で送ります。
機種名 | Olympus OM G-Zuiko AS 50mm F1.4 |
シリアルNO | 742605 |
付属品 | 前後キャップ、フイルター |
課題(所有者さん見解) | 小さな玉が落ちてきて、慌てて元に戻したら、 絞り羽が動かなくなってしまいました。 |
修理報告
この機種の特徴なのですが、鏡胴内部中央中玉レンズユニットがドロッピング方式で鏡胴本体に設置されているのですが、この部位のみが固く固着していて外す事ができません。往々にして、このレンズユニットに一番多くカビ等の付着物があります。同時にこの部位の【コバ剥がれ】が相当に進行していて、剥がれた黒い破片がレンズ表面に二か所程落下付着してしまっています。この部位以外は付着物除去処置施しましたが、付着期間が相当に長かった為、除去後の無数の腐蝕痕が随所に残ります。レンズが綺麗に復元した分、この様な症状が目立ちます。又、ご自身で分解後して再組立ができなかったとの趣旨は、こちらであるべき姿に復元できましたので、絞り羽ユニット機構も、調整ダイヤルとの連動復元しておりますのでご安心下さい。ご希望の納期までに間に合ってよかったです。又、今回の整備工程にて撮影した光学系付着物及びレンズ鏡胴内部の写真もご参照下さい。
納品に関しまして
※お願い・・・銀行お振込み頂きましたら、その旨メールにてお知らせ頂けますと幸いでございます。確認後速やかに納品させて頂きます。
発送方法 | クロネコ着払い便 |
送り状NO | 別途メールにて報告 |
配送状況 | お荷物追跡システム |
ご決済に関しまして
整備費 | 整備費=15,000円(税込) |
決済方法 | 銀行振り込み |
お願い | ご決済後メールにてお知らせ下さい |
お振込み先銀行
・みずほ銀行
・五香支店
・口座名義 一般社団法人 日本レンズ協会
・普通口座
・口座番号 1715154
ご縁ございましたら、今後もお付き合い・ご指導宜しくお願い申し上げます。
(一社)日本レンズ協会 代表理事 田斉 健輔