Olympusのレンズを整備していると、Zuikoという刻印をよく目にします。このZuikoは、漢字では瑞光と表現され、吉兆を知らせるおめでたい光のことだそうです。 吉兆とは良い知らせという意味になります。こういう意味合いを込めて、Olympusさんがレンズ銘柄表記版に、この文字を刻んでいるのかどうかはわかりません。
Zuikoレンズを搭載したOlympusカメラの第1号は、昭和11年=1936年に発売されたセミオリンパスI型なのですが、そもそもこのレンズを開発したのが、瑞穂光学研究所なので、この会社名からZuikoの由来があると考えてもいいのではないかと思っています。
オリンパスという会社は、株式会社 高千穂製作所が前身ですから、瑞穂光学研究所と共同で念願の第1号カメラ= セミオリンパスI型を世に送り出したのだと思います。だとすると、ビジネスパートナーの会社名から、レンズ銘柄の一部を採用した事になり、当時の高千穂製作所さんの懐の深さを感じます。
- シリーズ=中判カメラ
- 発売年月=1936年10月
- 製品名=セミオリンパスI型
ズイコーレンズを搭載したオリンパスカメラの第1号は、昭和11年(1936年)発売のセミオリンパスI型。プラウド社から供給されたセミプラウドボディーに、開発されたばかりのズイコーレンズを組み込みました。初任給75円の時代に103円という価格の高級機でした。
いずれに致しましても、当時は写真という存在は、今では想像もつかない高価な贅沢だったのではないでしょうか?そう考えると、当時の一部の方しか手に持てなかったレンズが、今では安価で入手でき、状態が悪くなければ今でも撮影の友として使用できます。オールドレンズとは不思議な存在です。修理の世界からこのレンズを捉えますと、硝子部位が小さいので作業自体は少し難しい部類に入ります。
レンズ検査ご依頼までの流れ(経緯)
今回のご依頼はメールにて受け付けましたので、その内容を簡潔にまとめました。
ご依頼者様から頂いたメール
ネットで購入したレンズなのですが、カビが酷くてどうしようかと悩んでおります。販売者は返品不可というコメントで交渉になりません。以前から探していた機種なので、綺麗になるのでしたら多少の出費は我慢します。10,000円くらいでお願いできますでしょうか?レンズは、Olympus OM H.Zuiko Auto-W 24mm F2.8という機種になります。レンズを修理に出すのは初めてなので、提案予算等失礼がありましたらお許し下さい。
今回お預かり致しました機種
機種名 | Olympus OM-System H.Zuiko Auto-W 24mm F2.8 |
シリアルNO | 131429 |
付属品 | 前後キャップ |
課題(所有者さん見解) | 光学系付着物除去 |
ご希望予算 | 10,000円くらい |
整備報告
レンズ鏡胴内部に組み込まれている、全てのレンズ表面に付着していた埃・カビ除去しました。レンズ全体としての光学的なクリアー度は復元しています。付着していた点カビと菌糸状カビが腐食カビで、除去後の腐食痕がうっすらとですが随所に残ります。この点ご了承下さい。今回の処置でレンズが綺麗になった分、もともと付いていた硝子表面の擦れ傷が目立ちます。この点もご了承お願い致します。絞り羽ユニット機構・フォーカス調整機構・外観共に状態の良いレンズです。未試用期間が長期化しない様ご留意お願い致します。
硝子部位写真=処置前
納品に関しまして
※お願い・・・銀行お振込み頂きましたら、その旨メールにてお知らせ頂けますと幸いでございます。確認後速やかに納品させて頂きます。
発送方法 | クロネコ発払い便 |
送り状NO | 別途メールにて報告 |
配送状況 | お荷物追跡システム |
ご決済に関しまして
整備費 | 10,000円(税込) |
クロネコさん送料 | 神奈川県(一律)=930円(税込) |
決済方法 | 銀行振り込み |
合計 | 10,930円 |
お願い | ご決済後メールにてお知らせ下さい |
お振込み先銀行
・みずほ銀行
・五香支店
・口座名義 一般社団法人 日本レンズ協会
・普通口座
・口座番号 1715154
ご縁ございましたら、今後もお付き合い・ご指導宜しくお願い申し上げます。
(一社)日本レンズ協会 代表理事 田斉 健輔