レンズ白濁の原因の見極めは難しい
お客さんからのお問い合わせで、「レンズを覗くと、白く濁っています。撮影するとソフトフォーカスみたいになります。」という内容のメールを頂きますが、この白濁症状の原因を特定するのは、やはりレンズ鏡胴内部にアクセスしてみないと解りません。今回のレンズのケースは、該当特定レンズ部位に付着したカビが原因でしたので、除去処置を施す事により課題は解決しました。
頂いたメール
Ricoh GR 21mm F3.5というレンズなのですが、撮影するとソフトフォーカスみたいになってしまい、レンズの中を覗くと白く曇っています。修理をお願いしたいのですが、20,000円位で可能なものなのでしょうか?
お返事メール
お問い合わせありがとうございます。レンズの白濁の原因は、主に二つあります。光学系付着物が原因の場合は、カビ等の付着物除去処置にて課題が解決するケースはあります。実際に初見してみないと判明しません。整備費用は○○様のご希望範囲内で処置可能と思います。
頂いたメール
お返事ありがとうございます。それでは、レンズを送りたいのですが、宜しいでしょうか?
お返事メール
○○様、承知致しました。ご都合の宜しい時にこちらまでご送付下さい。初見後、その原因が合成レンズ貼り合わせ面にて起きている現象と判明した場合は、付着物ではないので、現状のまま納品する事になってしまいます。その場合、検査報告費として一律=2,000円かかってしまいます。この事もご検討材料にして頂けますと幸いでございます。
![Ricoh GR 21mm F3.5 順番に検査](https://i0.wp.com/japanlensassociation.com/wp-content/uploads/2020/08/299489742d28f4121dad4632f86aabbe.jpg?resize=720%2C482&ssl=1)
付属品 | フィルター 、リヤキャップ |
シリアルNO | 10779 |
納期 | 6日間 |
整備費用 | 18,000円(税込) |
解説
全てのレンズ表面に付着していた埃・カビ除去しました。レンズ全体としての光学的なクリアー度はかなり復元しました。白濁の主な原因は中玉合成レンズに付着していたカビでした。カビそのものは除去しましたが、点カビの一部が腐食カビで、除去後の腐食カビ痕が残ります。ご了承下さい。フォーカス調整機構・絞り羽ユニット動作系問題ありません。外観共に大変状態の良いレンズです。今後の保管等、今まで同様ご留意お願い致します。白濁の原因が、修理の範疇で直る光学系付着物で良かったと思います。
修理工程参考写真
![Ricoh GR 21mm F3.5 解放時](https://i0.wp.com/japanlensassociation.com/wp-content/uploads/2020/08/494b22d0e7a29a9682fa9fe0236710ee.jpg?resize=720%2C482&ssl=1)
![Ricoh GR 21mm F3.5 絞り時](https://i0.wp.com/japanlensassociation.com/wp-content/uploads/2020/08/ddc0cd0bdaddc64e0b61c254f6229209.jpg?resize=720%2C482&ssl=1)
![Ricoh GR 21mm F3.5 白濁](https://i0.wp.com/japanlensassociation.com/wp-content/uploads/2020/08/7f6170266e435e81059c62280bc37729.jpg?resize=720%2C482&ssl=1)
![Ricoh GR 21mm F3.5 合成レンズ](https://i0.wp.com/japanlensassociation.com/wp-content/uploads/2020/08/4bccf3d6ac73a067b3e540cd18d81b91.jpg?resize=720%2C482&ssl=1)
![Ricoh GR 21mm F3.5 リヤ側から検査](https://i0.wp.com/japanlensassociation.com/wp-content/uploads/2020/08/672ebfcadb22693884627b580885aad2.jpg?resize=720%2C482&ssl=1)
![Ricoh GR 21mm F3.5 リヤ側 解放時](https://i0.wp.com/japanlensassociation.com/wp-content/uploads/2020/08/2db7200b3043dc07336edc33c507b58e.jpg?resize=720%2C482&ssl=1)
![Ricoh GR 21mm F3.5 リヤ側 絞り時](https://i0.wp.com/japanlensassociation.com/wp-content/uploads/2020/08/db614cfa1eff54b5a204c0c8d3907c8e.jpg?resize=720%2C482&ssl=1)
![Ricoh GR 21mm F3.5 クリーニング処置途中段階](https://i0.wp.com/japanlensassociation.com/wp-content/uploads/2020/08/b6acb39f756fb61a8d9797c1a3cdea78.jpg?resize=720%2C482&ssl=1)
整備後の所感
結果として、レンズ白濁の原因が今回の場合は、光学系付着物でしたので順調に課題が解決しクリアーなレンズに復元する事ができました。カビ除去後の腐蝕痕は若干残りましたが、実写には影響はないレベルだと思います。昔のオールドレンズは、この様にレンズ鏡胴内部に組み込まれている一部レンズ部位が白濁してしまっている個体が多いのが実情ですが、今回の様なケースの場合は。修理の範疇で処置できますので、こちらとしても嬉しいです。