Apo-Lanthar=アポランターのApo=アポとは、赤緑青の三色の光に対して色収差を補正した光学設計の意味で、高いレベルで色収差を除去したレンズだけが名乗れる称号になります。レンズ先端のリングに刻まれた赤緑青のラインは色収差を高度に補正したレンズの証で、フォクトレンダー社が最初にApo-Lantharの銘柄を冠した製品を発売したのは1950年代前半。6×9判スプリングカメラ=BESSA II に搭載されたほか、大判カメラ用レンズとしても販売されていました。
1981年にフォクトレンダー社は倒産しましたが、1999年に日本国内における商標権を獲得したコシナがフォクトレンダーブランドを復活させました。今回お預かり致しました機種は、ライカスクリューマウントのレンジファインダー機用レンズに属する製品になります。
フォクトレンダー社はW.A.モーツァルトがザルツブルクに生まれた1756年、同じオーストリア=当時は神聖ローマ帝国の首都ウィーンで、24歳だったヨハン・クリストフ・フォクトレンダー2世が創業しました。つまり世界でもっとも古い歴史を持つカメラメーカーという事になります。
フォクトレンダー社は当初は測量用コンパスなどを製造していたといいます。国内では、フォクトレンダーというと、日本の光学器械メーカー=コシナ社が発売するカメラ・レンズのブランドという認識の方が強い様です。出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
修理ご依頼に至るまでの経緯
今回はメールにてお問い合わせ頂きましたので、内容を簡潔にまとめてみました。
ご依頼者様から頂いたメール
初めてメールさせて頂きます。愛用しているレンズなのですが、レンズの中を覗くと、白いものが見えてくる様になり気になります。こういう現象は直るものなのでしょうか?もし直るのでしたらおいくら位用意しておけば大丈夫ですか?フォクトレンダー 90mm F3.5という機種になります。30,000円以下でしたらすぐにでも送らせて頂きたいと思っております。お返事、ご検討お願い致します。
今回お預かり致しました機種
機種名 | Voigtländer Apo-Lanthar 90mm F3.5 MC |
シリアルNO | 9061367 |
付属品 | 前後キャップ、フィルター、フード |
課題(所有者さん見解) | 光学系付着物除去 |
ご希望予算 | 30,000円くらい |
整備報告
レンズ鏡胴内部に組み込まれている、全てのガラス部位表面に付着していた埃・カビ除去しました。カビの種類は、主に点カビでした。レンズ全体としての光学的なクリアー度は復元しています。付着していた点カビが腐食カビで、除去後の無数の腐食痕が随所に残ります。この点ご了承下さい。又、この機種には下記写真の様な合成レンズが組み込まれていますが、その2枚のガラス部位張り合わせ面にて2か所から劣化が進行しています。
処置前光学系付着物写真
これは天然樹脂素材流動性粘着物自体の劣化が原因ですので除去できません。その劣化は現状そんなには激しくないので、当分の間は実写には大きな影響はないと診断致します。外観・駆動系共に大変状態の良い個体です。今まで同様大切にご所有下さい。
駆動系部位問題ありません
納品に関しまして
※お願い・・・銀行お振込み頂きましたら、その旨メールにてお知らせ頂けますと幸いでございます。確認後速やかに納品させて頂きます。
発送方法 | クロネコ発払い便 |
送り状NO | 別途メールにて報告 |
配送状況 | お荷物追跡システム |
ご決済に関しまして
整備費 | 25,000円(税込) |
クロネコさん送料 | 大分県(一律)=1,230円(税込) |
決済方法 | 銀行振り込み |
合計 | 26,230円 |
お願い | ご決済後メールにてお知らせ下さい |
お振込み先銀行
・みずほ銀行
・五香支店
・口座名義 一般社団法人 日本レンズ協会
・普通口座
・口座番号 1715154
ご縁ございましたら、今後もお付き合い・ご指導宜しくお願い申し上げます。
(一社)日本レンズ協会 代表理事 田斉 健輔