あるレンズの機種によっては、レンズ鏡胴内部に合成レンズが組み込まれている機種があります。このVoigtländer Ultron 40mm F2 SLという機種もその様な構図になっています。そして、その合成レンズの貼り合わせ面にて白濁症状が進行してしまう個体があります。二枚のガラス玉を貼り合わせる際に使用した粘着物自体の劣化が原因です。理論的には2枚のガラス玉を剥がして、張り合わせ面をクリーニングし、再度貼り合わせ処置を施せばいい事になります。当協会では過去にこの様な方法で処置を施してきましたが、再組立後に光学系数値に狂いが生じる現象の解明ができない事象が散見された為、現在では修理対象外課題と分類しています。
レンズ検査ご依頼までの流れ(経緯)
今回のご依頼はお電話にて直接受け付けましたので、その内容を文章にさせて頂きます。
後玉に曇りが発生しており、カメラに装着するとファインダーが霞む状態です。ご確認ください。実はこのレンズを使う予定の仕事が来週控えております。お電話にて、現在抱えている問題は御社では取り扱っていないとの事ですが、何とか処置をお願い致します。再組立後に例え問題が発生してしまったとしても、何ら責任の追及は致しません。無理言って大変申し訳けございませんが何卒よろしくお願い致します。
機種名 | Voigtländer Ultron 40mm F2 SL |
シリアルNO | 9220502 |
付属品 | 前後キャップ、フード |
課題(所有者さん見解) | 後玉に曇りが発生しており、カメラに装着すると ファインダーが霞む状態です |
修理報告
白濁の原因は、合成レンズ張り合わせ面にて起きています。二枚のレンズを張り合わせる際に使用している天然樹脂素材流動性粘着物そのものの劣化が進行しています。これは付着物ではないので除去できません。課題解決には遜色のない同規格部位交換を要しますが、当協会には現在在庫がございません。通常ですと、修理対象外課題ですので、現状のまま納品させて頂いておりますが、折り入ってのご要望という事で、今回はリスク覚悟で処置を施しました。問題の白濁は解消し現在はクリアーな個体に復元しております。再組立後の検査では光学系数値に問題はありませんが、納品後そちらでも速やかに実写検査してみて下さい。今回はBondicという歯科医が使う赤外線接着剤にて試作してみました。当協会では初の試みになりますので、今後の使用下においてどんな状態に変化するかは不明でございます。この様な背景ご了承お願い致します。整備途中で撮影した写真いくつか掲載しておきます。ご参照下さい。
納品に関しまして
※お願い・・・銀行お振込み頂きましたら、その旨メールにてお知らせ頂けますと幸いでございます。確認後速やかに納品させて頂きます。
発送方法 | クロネコ着払い便 |
送り状NO | 4675-5252-8141 |
配送状況 | お荷物追跡システム |
ご決済に関しまして
整備費 | 32,000円(税込) |
決済方法 | 銀行振り込み |
お願い | ご決済後メールにてお知らせ下さい |
お振込み先銀行
・みずほ銀行
・五香支店
・口座名義 一般社団法人 日本レンズ協会
・普通口座
・口座番号 1715154
ご縁ございましたら、今後もお付き合い・ご指導宜しくお願い申し上げます。
(一社)日本レンズ協会 代表理事 田斉 健輔