カビの付着は撮影に影響するのか?
よく頂く質問でもありますが、実際に撮影する人が、「影響する」と捉えれば影響はあると言えるし、「影響を感じない」と判断すれば、影響はないと言えます。只、カビの付着量によっても違ってきますが、特に絞り羽ユニット機構よりリヤ側(レンズ側)の部位に付着しているケースですと、撮影に影響する場合が多い・・・と言うのが修理の分野に身を置く一人としての見解になります。
頂いたメール
久しぶりに撮影しようと思ったら、レンズにカビが生えていました。カビの清掃をお願いします。レンズは、Zenza Bronica Zenzanon-PG 65mm F4です。
お返事メール
お問い合わせありがとうございます。一般社団法人 日本レンズ協会 代表理事 田斉健輔と申します。
実際に個体を初見してみないと、課題解決の確約はできませんが、光学系付着物は除去可能と推測します。
頂いたメール
ご返信ありがとうございます。費用と時間を教えて頂けますか?お願い致します。
お返事メール
過去の修理記録台帳を紐解きますと、同機種にて8,000前後整備費がかかっております。又、納期に関しましては概ね10日間ほどお時間を頂いております。
付属品 | 前後キャップ |
シリアルNO | 3507395 |
納期 | 3日間 |
整備費用 | 8,000円(税込) |
解説
鏡胴内部全てのレンズ表面に付着していたカビ除去処置施しました。カビの種類は、主に点カビと菌糸状カビでした。除去後の、光学的なクリアー度は復元しています。
只、付着していたカビの一部が腐蝕カビで、除去後の腐蝕痕が残ります。特に、レンズ外周の点カビの腐蝕痕が目立ちます。レンズが綺麗になった分、この症状が気になってくるとは思いますが、この点ご了承お願い致します。
レンズの様な光学機器は、未使用期間が長期化する程、随所に支障をきたします。今回の除去処置もあと年早かったら、カビの除去後の腐蝕痕は少なくて済んだものと診断します。今後の所有に関しましては、カメラに装填するまでもなく、時々レンズを手に取っていじってあげて下さい。それだけで、カビの増殖対策に有効です。
外観、駆動系共に状態の良いレンズです。今まで同様大切にご所有下さい。お願い致します。
作業工程参考写真
処置後の所感
整備を施していて常々感じる事なのですが、特にカビの除去処置を施した場合、カビそのものは完全に除去できても、除去後の腐蝕痕が残ってしまうケースがあります。この腐蝕痕が残るか残らないないかで、復元状態にも差が出てきてしまいます。
この腐蝕痕は撮影には全く影響しないのですが、レンズ鏡胴内部を覗いた時に受ける印象がやはり違ってきます。そして、腐蝕痕が残るか否かは、カビの付着期間によって大きく左右されてしまいます。
購入した時点でカビの付着が見つかった場合は仕方ありませんが、自分で所有していたレンズにカビの付着がある場合は、明らかに所有者さん責任です。色々なWebサイトで同じ様な解説をしていますが、やはりレンズは放置が一番よくありません。是非、まめに使って頂きます様、配慮お願い致します。