Schneider-Kreuznach Curtagon 35mm F2.8 修理記録

Schneider-Kreuznach Curtagon 35mm F2.8

Jos. Schneider Optische Werke GmbH=シュナイダー・クロイツナッハは、ヨーゼフ・シュナイダーによって創業されたドイツのレンズメーカーです。 Schneiderと略称される事が多い様です。傘下にはレンズメーカーのIsco=イスコがあります。またドイツ統一に伴い苦境に陥っていたドイツ民主共和国=東ドイツに存在したカメラメーカーPentacon=ペンタコンを傘下に収めています。以前はドイツKodakのRetina=レチナシリーズなど、普及版フイルムカメラを筆頭に、多数のカメラメーカーにレンズの供給をしていましたが、現在は主にプロフェッショナル写真家向けレンズを専門に製造しているメーカーになります。

Retina2型
Retina2型モデル

今回お預かり致しました機種は、この様な歴史的背景の元、製造・販売された、国と時空を超えて現在も存在する希少なレンズの一種になります。ご依頼者様のお話しを聞く限りにおいては、元箱も取説もあるとの事ですので、初見時のレンズの状態も合わせると、もしかしたらワンオーナーレンズの可能性もあります。現存するオールドレンズとしては、外観及び駆動系共にとても状態の良いレンズになります。只、やはり光学的な付着物は相応に確認できますので、主に付着している点カビの除去処置を、この機会に施しておいたほうがいいと思います。

レンズ検査ご依頼までの流れ(経緯)

今回のご依頼はメールにて受け付けましたので、その内容を簡潔にまとめました。

ご依頼者様から頂いたメール

下記レンズの分解清掃の可否、料金の概要を、教えてください。Kodak SCHNEIDER CURTAGON 35mm f/2.8。現在の状態:全体的に曇りと埃あり。前玉かすかな拭き傷、後玉微細なカビ、があります。絞り羽:油じみなし、作動可能。フォーカス:適度な力で作動可能。外見は打痕、ゆがみは見られず、経年劣化も、あまり感じられません。フィルムにより試写した結果、コントラストはそれなりでしたが、解像感が今一つありませんでした。元より現代のレンズと同等の性能を求めるわけではありませんが、このレンズの「延命」も含めて、オーバーホールしたいと思っています。よろしくお願いいたします。

こちらからのお返事

以下、実際に該当個体を初見しておりませんのでお問い合わせ頂きましたメールの文章からのお返事となります事、ご了承お願い申し上げます。曇りの原因が、カビ等光学的な付着物であれば除去処置にて課題が解決するケースはございます。拭き傷に関しましては、研削・研磨・ポリッシング処置は現在当協会では施しておりません。カビ等の付着物除去は可能と推測致します。

又、こちらで処置後、フイルムカメラで実写なさった際、解像度がどれくらい復元するかに関しましては人の感覚=感性での判断になると思いますので、こちらでは厳密な検査できません。整備費用に関しましては、過去の修理記録台帳を紐解きますと、同機種にて15,000円(税込)くらいかかっております。

フォーカス構成機構及び絞り羽ユニット機構共に、駆動系機構は特に問題ない様でしたら、今まで同様、今後も大切にお取り扱い下さい。いずれに致しましても、ご依頼者様の大切な光学機器です。業者さんの選定等々、充分にご検討下さい。

ご依頼者様から頂いたメール

ご担当者様、返信有難うございます。お話の内容は理解できました。そのうえで、そちらで整備することは可能でしょうか?可能ならばレンズをそちらに配送すればよろしいのでしょうか?また着手前に見積書を作成していただけるのでしょうか?よろしくお願いいたします。

こちらからのお返事

おはようございます。
申し訳けございませんが、お見積書に関しましては書面でご依頼者様にご提示する様なシステム=手順は導入しておりません。こちらで該当個体を初見後、状態の説明と、正式な見積額に関しましてご依頼者様にお電話にてお伝えさせて頂いた上で、ご納得が得られた時にのみ、その先の具体的な処置にとりかからせて頂いております。

何だかの理由で依頼者様のご納得が得られなかった場合は、現状のまま該当個体を返品させて頂きます。その場合は、送料のみご負担頂いております。世にあるオールドレンズは今に至るまで、どの様な方に所有されてきたのか?どの様な環境下で今に至るのか?不明な個体ばかりですので、時には、具体的な処置に必要なアクセスが上手くいかないケースもございます。その様な場合も、上記解説同様現状のまま該当個体を返品させて頂きます。

その場合も、送料のみご負担頂いております。診断→お電話での報告→具体的な処置→メールでの作業完了報告→ご決済→納品という流れになります。当協会の、この様な流れで宜しければ他社さんとのお客様対応・お見積額等々、比較して頂きまして、ご依頼者のご都合の宜しい時に、こちらまでご送付頂ければと存じます。諸々、充分にご検討頂きます様宜しくお願い申し上げます。

今回お預かり致しました機種

Schneider-Kreuznach Curtagon 35mm F2.8 付属品
Schneider-Kreuznach Curtagon 35mm F2.8 付属品
機種名Schneider-Kreuznach Curtagon 35mm F2.8
シリアルNO11086585
付属品専用プラケース
課題(所有者さん見解) 分解清掃
お問い合わせ時お見積もり額15,000円(税込)

整備報告

レンズ鏡胴内部に組み込まれている硝子部位表面に付着していた埃・カビ等の光学系付着物全て除去処置施しました。レンズ全体としての、光学的なクリアー度は復元しております。カビの主な種類は点カビでした。

Schneider-Kreuznach Curtagon 35mm F2.8 無数の点カビ
Schneider-Kreuznach Curtagon 35mm F2.8 無数の点カビ=除去前写真
Schneider-Kreuznach Curtagon 35mm F2.8 無数の点カビと一部傷
Schneider-Kreuznach Curtagon 35mm F2.8 無数の点カビと一部点傷 =除去前写真

点カビの一部が腐蝕カビで、除去後の腐蝕痕跡が若干ですが残ります。また、レンズが綺麗に復元した分、もともとあった前後玉硝子部位表面の擦れ傷と点傷が目立ちます。この様な症状、ご了承お願い致します。あくまでも推測の域を出ませんが、このレンズは過去に整備が施されていたものと思います。

絞り羽ユニット機構及びフォーカス調整機構の二つの駆動系問題ありません。外観共にとても状態の良い部類に入ると思います。尚、以前のメール及びお電話にてもお話し致しましたが、今回の処置がどこまで解像感の改善に貢献できたかに関しましては、こちらで厳密には検査確認できません。この事もご了承お願い致します。未使用期間が長期化しない様、今後も大切にご所有下さい。

納品に関しまして

※お願い・・・銀行お振込み頂きましたら、その旨メールにてお知らせ頂けますと幸いでございます。確認後速やかに納品させて頂きます。

発送方法クロネコ発払い便
送り状NO別途メールにて報告
配送状況お荷物追跡システム

ご決済に関しまして

整備費12,000円(税込)
クロネコさん送料埼玉県(一律)=930円(税込)
決済方法銀行振り込み
合計12,930円
お願いご決済後メールにてお知らせ下さい
お振込み先銀行

・みずほ銀行
・五香支店
・口座名義 一般社団法人 日本レンズ協会
・普通口座
・口座番号 1715154

山田 太郎の様にご記入下さい

納品後メールを頂きました

お礼のメール

こういう映りの差を解像度(感)=シャープネスというのですね。とても勉強になります。ありがとうございます。こちらこそ、今後も宜しくお願い申し上げます。

メンテ前止まれ
メンテ前止まれ
メンテ後止まれ
メンテ後止まれ

ご縁ございましたら、今後もお付き合い・ご指導宜しくお願い申し上げます。
(一社)日本レンズ協会 代表理事 田斉 健輔

kensuke tasai と申します。 光学機器の修理を主たる業務としております。 関連コンテンツも並行して配信させて頂いておりますので、リクエストございましたら、お気軽にお問い合わせ下さい。