Carl Zeissの歴史は1846年、Freistaat Thüringen=ドイツ中央のチューリンゲン地方にあるJenaに、Carl Zeiss氏=1816年9月11日生まれが、顕微鏡工房を開設したところに始まります。人命を救い人類に貢献することへの情熱によりZeissの顕微鏡は改良を重ね、1860年代にはドイツで最も優秀な光学装置のひとつに認められ、大公宮廷の御用達にも任命されます。
Zeissの顕微鏡が市販されると、細菌学者のHeinrich Hermann Robert Koch=ロベルト・コッホが使用し、1882年に結核菌を、1884年にコレラ菌を発見し、後にロベルト・コッホは結核菌の発見で1905年にノーベル賞を受けています。この様な歴史的背景を持つメーカーのレンズを今回はお預かりする事になりました。
Carl Zeiss氏
カール・ツァイス氏(1816~1888)は、12人兄弟の5番目としてワイマールに生まれました。1835年から1838年にかけて、Jena大学の講座を聴講。1846年にツァイスはドイツ東部イエナに小さな工房を設立、大学内の科学機械と顕微鏡の製造と保守をはじめました。産業革命で成功した同時代人と同様、カール・ツァイスは製造工程における科学的裏付けと精度の確保、量産化の重要性を認識していました。
レンズ検査ご依頼までの流れ(経緯)
今回のご依頼はメールにて受け付けましたので、その内容を簡潔にまとめました。
ご依頼者様から頂いたメール
いつもお世話になります。今回お願いしたいレンズは、父親から譲り受けたレンズになります。何十年も使っていなかったそうで、特にレンズ後群に無数のカビが生えています。又、絞り羽が開放のまま動きません。この様な症状は解決できるものでしょうか?私は一度もこのレンズを使ったことがありませんが、修理の範疇にて状態が改善されるのであれば、是非お願いしたいと思ってメールしました。20,000円くらいで整備して頂けると助かります。ご検討お願い致します。
こちらからのお返事
こちらこそいつもお世話になります。カビの様な光学系付着物の除去は、レンズ鏡胴内部への必要なアクセスが順調に進めば可能と推測致します。又、絞り羽ユニット機構の不具合に関しましては、その原因が、フォーカス調整機構螺旋状部のグリス落ちによるものでしたら、油分を含む汚れの除去処置にて課題が解決するケースはございます。
(一社)日本レンズ協会 代表理事 田斉健輔
今回お預かり致しました機種
機種名 | Carl Zeiss Jena Flektogon 50mm F4 |
シリアルNO | 8585982 |
付属品 | 前後キャップ |
課題(所有者さん見解) | 絞り羽根が開放のまま動かない状態とカビの付着。 |
ご希望予算 | 20,000円くらい |
絞り羽ユニット機構
絞り羽ユニット機構に付着していた油分を含む汚れ除去処置施しましたので、その駆動は復元しております。最小絞り値から開放まで全領域にてスムースに駆動しています。参考写真では絞り羽フイルムの洗浄剤がまだ乾いていない状態ですので、濡れている様に見えますが、完全に乾いた状態で納品いたしますのでご安心下さい。しばらくは復元した状態が安定して維持できると診断致します。
光学系付着物
レンズ鏡胴内部に組み込まれているカビ・埃全て除去処置施しましたので、レンズ全体としての光学的なクリアー度は復元しております。付着していた主なカビの種類は点カビでした。カビ除去後の腐食痕の残らないで、スカッと抜ける様な眩しいレンズに蘇りました。厳密には、レンズ鏡胴内部の全てのカビの胞子を除去した訳ではありませんので、今後未使用期間が再び長期化しますと再発の可能性は否めません。なるべく頻繁に使って頂けます様、ご協力お願い致します。フォーカス調整機構及び外観ともにとても状態の良いレンズです。これからも大切にご所有下さい。
納品に関しまして
※お願い・・・銀行お振込み頂きましたら、その旨メールにてお知らせ頂けますと幸いでございます。確認後速やかに納品させて頂きます。
発送方法 | クロネコ発払い便 |
送り状NO | 別途メールにて報告 |
配送状況 | お荷物追跡システム |
ご決済に関しまして
整備費 | 18,000円(税込) |
クロネコさん送料 | 新潟県(一律)=930円(税込) |
決済方法 | 銀行振り込み |
合計 | 18,930円 |
お願い | ご決済後メールにてお知らせ下さい |
お振込み先銀行
・みずほ銀行
・五香支店
・口座名義 一般社団法人 日本レンズ協会
・普通口座
・口座番号 1715154
ご縁ございましたら、今後もお付き合い・ご指導宜しくお願い申し上げます。
(一社)日本レンズ協会 代表理事 田斉 健輔