Asahi SMC Takumar 6×7 105mm F2.4 修理記録

Asahi SMC Takumar 6×7 105mm F2.4

Asahi SMC Takumar 6×7 105mm F2.4というレンズは、1971年にリリースされた67中判の標準レンズになります。前モデルの Super Takumar 6×7 105mm と光学設計は同じですが、多層コーティングされた機種になります。Super-Multi-Coated Takumar 50mm F1.4と同じで、後群の一部に酸化トリウム含有のレンズが用いられた機種で、いわゆるアトムレンズと言われています。

ブラウニング現象について

いい機会なので経年による「ブラウニング現象」から「黄変化」した個体について少し解説しておきたいと思います。「黄変化」は「ブラウニング現象」の結果、光学系内の光学硝子レンズが経年で「赤褐色化」に変質してしまった状態を指します。光学硝子材に含有している「酸化トリウム」と硝子材成分との化学反応から、長期間使われないまま保管していた場合に (つまり入射光が光学系内に透過されない期間が長い場合に)生じてしまう現象です。なので、使用頻度が高い個体はレンズ鏡胴内部に常時入射されてきた状態ですので、「赤褐色化」に変質してしまった状態を避けられます。実際にはこの様な個体の方が稀なのですが、酸化トリウムが含まれたレンズは組み込まれているレンズが全て赤褐色化しまう訳ではありません。この様に、俗に言う「アトムレンズ (放射線レンズ)」に関してはその実態が不明のままネット上で色々と言われているのが実情です。最後に、何故当時「酸化トリウム」を光学硝子材に含有させていたのか?という疑問が残ると思いますが、答えは「屈折率の向上」に他ならず、最大で20%ほど改善できていたようです (後に代替材として使われたランタン材は最大値で10%代の改善に留まると言われています)。すると「酸化トリウム」の含有で鋭いピント面を得たほうが良いのか、或いは「黄変化」を嫌うのか (放射線被曝が怖いのか) などの選択肢が分かれると思います。そして、「黄変化」で仮に光学系内が「赤褐色化」していた場合、今ドキのデジカメ一眼/ミラーレス一眼ならばカメラボディ側の「オート・ホワイト・バランス (AWB)」設定である程度は改善が期待できます。つまり、黄色っぽく写るのを抑えられる訳ですから、あまり赤褐色化を気にする必要性はないと個人的には感じています。

レンズ検査ご依頼までの流れ(経緯)

今回のご依頼はメールにて受け付けましたので、その内容を簡潔にまとめました。

メールにてのお問い合わせ

ペンタックス 6X7用 PENTAX SMC TAKUMAR 6X7 F2.4/105mm #6937399のカビ取りをお願いしたいと思っております。かなり昔にゆずり受けた、初期のペンタックス6X7を久しぶりに引っ張り出してまた使ってみようと思ったところ、所有するレンズ3本のうち、他の55mmF3.5と200mmF4はキレイなのですが、これだけカビがきていました。

撮影してみたところ、問題なく撮れることは撮れるのですが、他の2本にくらべて、このレンズの写真だけ、何となくネムい感じの仕上がりです。せっかくなのでカビ取りに出してみようと思い、貴協会のHPを見つけ連絡させていただいた次第です。レンズのカビ以外では問題なく作動していると思います。まず現物をお送りしたうえでお見積もりと納期をお知らせいただければと思いますが、その場合の見積り料、またこ のレンズのカビ取りの現時点で分かる概算見積をご教示いただければと思います。よろしくお願いいたします。

Asahi SMC Takumar 6×7 105mm F2.4 付属品
Asahi SMC Takumar 6×7 105mm F2.4 付属品
機種名Asahi SMC Takumar 6×7 105mm F2.4
シリアルNO6937399
付属品前後キャップ、フィルター
課題(所有者さん見解)カビの除去

修理報告

全てのレンズ表面に付着していた埃・カビ除去しました。レンズ全体としての光学的なクリアー度はかなり復元しています。付着していた点カビが腐食カビで、除去後の腐食痕が随所に残ります。お電話にてお伝えはしておりますがご了承下さい。外観・動作共に状態の良いレンズです。大切にご所有下さい。又、一部硝子玉の黄変化に関してですが、あまり気にする必要性はないと思います。該当部位に長期間自然光が当たらないとこの症状が進行しやすいので、今後は頻繁に使ってあげて下さい。黄変化の進行は止まります。整備工程にていくつかの写真UPしておきますので併せてご参照下さい。

参考写真

Asahi SMC Takumar 6×7 105mm F2.4 レンズユニット
Asahi SMC Takumar 6×7 105mm F2.4 レンズユニット
Asahi SMC Takumar 6×7 105mm F2.4 全面を覆った菌糸状カビ
Asahi SMC Takumar 6×7 105mm F2.4 全面を覆った菌糸状カビ

納品に関しまして

※お願い・・・銀行お振込み頂きましたら、その旨メールにてお知らせ頂けますと幸いでございます。確認後速やかに納品させて頂きます。

発送方法クロネコ着払い便
送り状NO納品済
配送状況お荷物追跡システム

ご決済に関しまして

整備費
ご決済完了
決済方法銀行振り込み
お願いご決済後メールにてお知らせ下さい
お振込み先銀行

・みずほ銀行
・五香支店
・口座名義 一般社団法人 日本レンズ協会
・普通口座
・口座番号 1715154

山田 太郎の様にご記入下さい

ご縁ございましたら、今後もお付き合い・ご指導宜しくお願い申し上げます。
(一社)日本レンズ協会 代表理事 田斉 健輔

kensuke tasai と申します。 光学機器の修理を主たる業務としております。 関連コンテンツも並行して配信させて頂いておりますので、リクエストございましたら、お気軽にお問い合わせ下さい。