このレンズも、こちらでの構造研究が終わったので、修理して出品する為のレンズになります。どなたかこの機種をお探しの写真愛好家の方に使って頂ければ幸いでございます。スクリュータイプのL39規格のマウントですので、このマウント規格のアダプターを介せば、デジカメやミラーレスにて実写が可能になります。
主にアルミ金属素材でできているので、レンズ単体での重量は比較的軽いとはいえ、スクリュータイプのレンズは、M42規格同様、撮影中や移動中にレンズがカメラ本体から外れやすいので注意して下さい。落下や水没のその一瞬で致命傷に至るケースが殆どです。
Lマウントとは
Lマウントとは、初期のLeicaが採用していたスクリューマウント(カメラとレンズの取り付け部分がねじ込み式になっているもの)の規格です。同じスクリューマウントのM42と比べると、内径が39ミリと小さいのが特徴で、レンズも小型でかわいい機種が多いです。当時、Lマウントは互換レンズがたくさん作られ、勿論日本でもNikonさんやCanonさんも製造していました。
旧ソ連のレンジファインダーフイルムカメラは、ほとんどがLeicaコピーからスタートしたので、当然それ用のLマウントレンズが豊富にあり、しかもとても安価で入手できます。ただしFEDは、戦前まで独自フランジバックのものがあるので、ボディとの組み合わせは少し注意が必要です。
※フランジバック=カメラのレンズ取り付け基準面から焦点(フィルム面)までの距離のこと。
フェド(FED 、原語発音ではフェト)は、旧ソ連のかつて存在したレンジファインダーカメラブランドで、第二次世界大戦戦後すぐまでの製品はフランジバック統一前のライカをコピーしてしまったためにLマウントとはフランジバックが違っていて、これを一般的にFEDマウントと呼んでいます。
今回出品する機種は、L39マウント規格のレンズですので、現行のデジカメを使ってオールドレンズの妙を味わう事が可能です。
ミラーレスカメラで撮影してみました
整備後に、お気に入りの場所で風景写真を撮影してみました。使用したカメラはSony αになります。マニュアルモードで撮影します。Sony-α NEX5というカメラは、レンズ側の絞り値に合わせて、自動的にシャッタースピードで適正露出に合わせてくれるので、絞り値とシャッタースピードの関係さえ押さえておけば、後はピントを合わせるだけです。それでも、FED И-26M 52mm F2.8 L39マウントを使った今回の撮影は、私の撮影スキルでは少し難しく感じました。
撮影場所は、当協会所在地から自転車で10分くらいで行ける、松戸市古民家文化財に登録されている旧斎藤邸敷地内で撮影しています。この空間は個人的にもとてもお気に入りで、まるで時が止まってしまった様な、静かでとても落ち着ける空間です。お弁当を持って、3時間位撮影していると何だか元気が湧いてきます。きっと、あなたの傍にも心を癒してくれる身近な自然風景があると思います。
私は光学機器の修理の分野で生きていますので、撮影の専門家ではありません。下手くそな写真ばかりですが、60枚ほど実写しましたのでご参照下さい。スライドショーにもしてみました。全ての写真は、ほぼ解放値で撮影しています。フイルムカメラが、まだレンジファインダー時代に使われていたレンズが、アダプターを介してデジカメで撮れるのは時空を超えた楽しさがあると思います。実際に撮影してみて、このレンズの特徴は私には解りませんでしたが・・・
機種名 | FED И-26M 52mm F2.8 L39マウント |
シリアルNO | 1975069 |
付属品 | 特にナシ |
出品先 | ヤフオク |
整備後に出品
外観に関しましては、凹みはなく、全体的に擦れが散見されますが、この年代の機種にしては綺麗な方だと思います。詳細は、ヤフオク出品写真でご判断下さい。
フォーカス調整機構及び絞り羽ユニット機構の駆動系は全く問題ありません。フォーカス調整ダイヤルのトルク感は軽めに調整しました。絞り羽調整ダイヤルは、クリック型ではなくてフリータイプの構造になります。
カビ等の光学系付着物が確認できましたので、レンズ鏡胴内部に組み込まれている全ての硝子部位表面に付着していた埃・カビ全て除去しました。レンズ全体としてのクリアー度は、スカッと抜ける様な眩しいレンズに復元しています。硝子玉表面に極々浅い擦れ傷が散見されます。付属品は特にございません。
このレンズの出品時の状態
駆動系及び光学系及び外観に関して、それぞれ出品に際しての状態を解説します。
落下等による凹みはありません。経年使用下の擦れは散見されます。この年代の個体としては、綺麗な方だと思います。ヤフオクの出品写真をご参照下さい。アルミ金属用の艶出しクリームで磨いてあります。レンズ本体以外の付属品は特にございません。
出品に際し、レンズ鏡胴内部に組み込まれている全ての硝子玉表面に付着していた埃・カビ除去処置施しましたので、出品時付着物はございません。スカッと抜ける様な眩しいレンズに蘇りました。カビ除去後の腐蝕痕も殆ど残らないで、その復元状況は上々です。只、レンズが綺麗になった分、元々あった硝子玉表面の擦れ傷が目立ちます。この症状は実写に際して大きな影響はないと判断します。実際に撮影した風景写真からもご確認下さい。
至近距離指標から無限遠指標まで、全領域でスムースに駆動しています。そのトルク感は軽めです。スクリュータイプのマウントですから、実写中カメラ本体からずれてしまわない様に、軽めのトルクに仕上げました。螺旋状部アルミ金属同士が摩耗していますが、まだまだ使えるものと診断致します。
解放値F2.8~絞り値F22まで全領域でスムースに駆動しています。そのトルク感も丁度いいと感じますが、指標値16付近がやや硬く感じます。この感覚は、人により嗜好が異なると思いますので、どこまで標準規格に復元できたかは定かではありません。
このレンズは、スクリュータイプマウントの単焦点レンズですので、そのマウントはL39規格のマウントになります。下記写真の様なマウントを介してデジカメ等でお使い下さい。
この様な状態のレンズになります。この機種をお探しの写真家の方がいらっしゃいましたら、上記解説をお読みになった上でご検討下さいます様お願い申し上げます。