Minoltaというメーカーは、コニカとの合併でコニカミノルタとなり、今ではカメラ事業から撤退してしまいましたが、カメラ・レンズともに非常に高い評価を得ていた光学機器メーカーでした。このMinoltaは早い時期から硝子溶解、研磨、コーティングまですべて自社の工場で行いロッコールというブランドをつけていました。このRokkorという名称は創業地である西宮市から近い神戸市六甲山にちなんで命名されたといわれています。
ミノルタMDとMC
Minoltaのレンズには、MDとかMCという銘柄表記がありますが、Minoltaのマニュアルフォーカス用交換レンズは互換性が高く、MDレンズでもMCレンズでも形状的には同じ規格になっているので、Minoltaのマウントアダプターであれば、どんなデジカメにも対応しています。少し細かな事なのですが、厳密にはMDマウントやMCマウントというものはありません。
![Minolta SR-2](https://i0.wp.com/japanlensassociation.com/wp-content/uploads/2022/03/Minolta-SR-2.jpeg?resize=500%2C357&ssl=1)
レンズに機能が追加されるたびに便宜上そう呼ばれるようになった名前であって、本来の名前はミノルタSRマウントとなります。このミノルタSRマウントとは、1958年にミノルタが初めて発売した一眼レフカメラ、Minolta SR-2で初採用されたレンズマウントの事で、その名の通り、Minolta SRシリーズというフィルムカメラで使われたマウントであることに由来しています。
MDマウントアダプターの一例
![MD-NEXマウントアダプター](https://i0.wp.com/japanlensassociation.com/wp-content/uploads/2020/08/b62657ab020367c9854db95e6255fe5c.jpg?resize=720%2C482&ssl=1)
Minolta SRマウントのオールドレンズは4種類
レンズマウントの形状はすべて互換性があります。その為、マウントアダプターでミラーレス一眼に取り付けて使用する場合にも、とくに互換性を心配することなく、どれでも使用可能です。もしこれからミノルタSRマウント=MDマウントやMCマウントのレンズを使う場合、MDやMC、SRと書かれたものならどれでも互換性があります。
![MCロッコールレンズ](https://i0.wp.com/japanlensassociation.com/wp-content/uploads/2022/03/d64a5d893d0d86e4dd7637fdb19deb82.jpeg?resize=720%2C541&ssl=1)
MC Rokkorレンズ
カメラに絞りの値を伝達することができる開放測光対応レンズ。前期型の金属製ピントリングと、後期型のゴム巻きピントリングがあります。
MD Rokkorレンズ
カメラボディから絞りの制御を可能とし、シャッター優先AEを可能としたレンズ。プログラムAEとは、デジタルカメラの撮影モードのひとつで、プログラムモードやPモードとも呼ばれます。
![MDロッコールレンズ](https://i0.wp.com/japanlensassociation.com/wp-content/uploads/2022/03/683ecea1927b5c62bce26c70cfab311f.jpeg?resize=720%2C540&ssl=1)
![オートロッコールレンズ](https://i0.wp.com/japanlensassociation.com/wp-content/uploads/2022/03/d7cff0b201b0524b8dc712cbd3d30ca5.jpeg?resize=720%2C540&ssl=1)
オートRokkorレンズ
ミノルタがフィルム一眼レフ用として最初に発売したレンズです。自動絞りのものがオートロッコール。自動絞りではないレンズにはオートという名前は付きません.
New MDレンズ
機能的にはMDロッコールと同じですが、名前からロッコールという名称が消えました。レンズ自体が小型化、コストダウンも図られています。硝子部位、金属部位ともにプラスチック化していきます。
![New MDレンズ](https://i0.wp.com/japanlensassociation.com/wp-content/uploads/2022/03/19bbf0f84ffcce45553712ed50c76a1f.jpeg?resize=720%2C540&ssl=1)
レンズ修理ご依頼までの流れ(経緯)
今回のご依頼はメールにて受け付けましたので、その内容を簡潔にまとめました。
ご依頼者様から頂いたメール
いつもお世話になります。Minolta機種ばかり整備して頂き感謝しております。昔同じモデルを整備してもらったのですが、カメラと一緒に転倒させてしまい、カメラは無事だったのですが、レンズの方はガラスが割れてしまったりで、先日代替え品としてMinolta MC Rokkor-PG 58mm F1.2を購入しました。商品説明通り、カビも生えていて、絞り羽の動きも芳しくありません。修理の範疇で出来うる範囲の復元で構いませんので、何とか整備をお願い致します。
今回お預かり致しました機種
![](https://i0.wp.com/japanlensassociation.com/wp-content/uploads/2022/03/ac72731f488cad27fda2e3510ca49e1f.jpg?resize=720%2C520&ssl=1)
機種名 | Minolta MC Rokkor-PG 58mm F1.2 |
シリアルNO | 2599474 |
付属品 | 前後キャップ |
課題(所有者さん見解) | 絞り羽根の動きとカビ |
ご希望予算 | 25,000円くらい |
除去前カビの写真
青と緑のシールは作業中のマーキングシールです。
![Minolta MC Rokkor-PG 58mm F1.2 雲状カビと点カビ](https://i0.wp.com/japanlensassociation.com/wp-content/uploads/2022/03/fb8fdaaa093e375a2b4acf772a668dca.jpeg?resize=720%2C482&ssl=1)
![Minolta MC Rokkor-PG 58mm F1.2 擦れ傷と点カビ](https://i0.wp.com/japanlensassociation.com/wp-content/uploads/2022/03/37c1332d2c18bdd6ca351a327981e8e0.jpeg?resize=720%2C482&ssl=1)
![Minolta MC Rokkor-PG 58mm F1.2 点カビ](https://i0.wp.com/japanlensassociation.com/wp-content/uploads/2022/03/54ca4669a9ec3ddd82ea29a29ffe3180.jpeg?resize=720%2C482&ssl=1)
![Minolta MC Rokkor-PG 58mm F1.2 点カビと埃](https://i0.wp.com/japanlensassociation.com/wp-content/uploads/2022/03/68e4dd7ee40dfc3d1329dbd420f03662.jpeg?resize=720%2C482&ssl=1)
![Minolta MC Rokkor-PG 58mm F1.2 埃と菌糸状カビ](https://i0.wp.com/japanlensassociation.com/wp-content/uploads/2022/03/b3ac8c1e8b73e91de1ac67097f83afb2.jpeg?resize=720%2C482&ssl=1)
![Minolta MC Rokkor-PG 58mm F1.2 レンズユニット](https://i0.wp.com/japanlensassociation.com/wp-content/uploads/2022/03/0b908059e4c7f4364ab29c7fa419b2bc.jpeg?resize=720%2C482&ssl=1)
全て綺麗に除去できていますが、一部除去後の腐食痕が残ってしまいました。この点、ご了承お願い致します。
絞り羽ユニット機構
フォーカス調整機構螺旋状部グリスが流れ落ちてきて、絞り羽ユニット機構に付着していましたので、その汚れを含む油分を除去しましたので、その駆動は復元しています。只、こういう傾向がある個体は整備後時間の経過に伴い、再度に多様な症状になってしまうケースもあります。その場合は無償で整備しますので、その旨ご連絡下さい。
![Minolta MC Rokkor-PG 58mm F1.2 開放時](https://i0.wp.com/japanlensassociation.com/wp-content/uploads/2022/03/7c94de74091bda7be73f531f5c06b2a2.jpeg?resize=720%2C482&ssl=1)
![Minolta MC Rokkor-PG 58mm F1.2 絞り時](https://i0.wp.com/japanlensassociation.com/wp-content/uploads/2022/03/eee959865a4bf7ce195e9374d9c7ac86.jpeg?resize=720%2C482&ssl=1)
順番に検査
もしも、ご自身で整備する場合は、レンズ鏡胴内部に組み込まれている硝子部位の形状が似ているので、目印のシールを使って、裏・表を把握しながら作業していく様にして下さい。
![Minolta MC Rokkor-PG 58mm F1.2 順番に検査(フロント側)](https://i0.wp.com/japanlensassociation.com/wp-content/uploads/2022/03/bd74274fc3c13a1df7f488d2bb1c88b2.jpeg?resize=720%2C482&ssl=1)
![Minolta MC Rokkor-PG 58mm F1.2 順番に検査(リヤ側)](https://i0.wp.com/japanlensassociation.com/wp-content/uploads/2022/03/d2f1783752bc210a93bf18949a9e9e76.jpeg?resize=720%2C482&ssl=1)
今回全体的な整備を施しましたので、今後しばらくは撮影の友として活躍してくれる1本になると思いますが、未使用期間が長期化しない様にご留意お願い致します。
納品に関しまして
※お願い・・・銀行お振込み頂きましたら、その旨メールにてお知らせ頂けますと幸いでございます。確認後速やかに納品させて頂きます。
発送方法 | クロネコ発払い便 |
送り状NO | 別途メールにて報告 |
配送状況 | お荷物追跡システム |
ご決済に関しまして
整備費 | 25,000円(税込) |
クロネコさん送料 | 神奈川県(一律)=930円(税込) |
決済方法 | 銀行振り込み |
合計 | 25,930円 |
お願い | ご決済後メールにてお知らせ下さい |
お振込み先銀行
・みずほ銀行
・五香支店
・口座名義 一般社団法人 日本レンズ協会
・普通口座
・口座番号 1715154
ご縁ございましたら、今後もお付き合い・ご指導宜しくお願い申し上げます。
(一社)日本レンズ協会 代表理事 田斉 健輔