Nikon AF Nikkor 20mm F2.8 D 修理記録

超広角レンズのNikon AF Nikkor 20mm F2.8 Dは製造時期の分類では、オールドレンズではなく新しい機種の部類に入ると思います。AF機構の機種はフォーカス調整機構は基本的にはドライ状態なので関連螺旋状部のグリス落ちが原因で、絞り羽ユニット機構が解放状態で固着してしまう事はないのですが、今回お預かりしました個体はその様な症状でした。推測の域を出ませんが、過去にどなたかがフォーカス調整機構のトルク感を調整したのかもしれません。もしもこの機種を新たに購入する場合は、新品市場で購入する方が安心なので、価格を比較して検討された方がいいと感じています。同じ焦点距離で2018Gというタイプの機種もある様で、こちらの機種は価格がかなり高く販売されています。明るさ的には2028Ｄのタイプで十分だと個人的には感じています。私は撮影の専門家ではないので、細かなこだわりに関しては言及できませんが、スーパーインテグレーテッドコーティングが施されている事を表す⑩マークのロゴ入りが中でも人気がある様です。

レンズ検査ご依頼までの流れ（経緯）

今回のご依頼はメールにて受け付けましたので、その内容を簡潔にまとめました。

絞りが開放状態になってしまいました。絞りが使えるようにしていただきたく、お願いいたします。また、レンズ内に細かなゴミ（？）が若干見られるため、レンズのクリーニングもお願いしたいと思います。このレンズは比較的新しい機種だと思うのですが、新しいレンズでも絞り羽が固着してしまう現象が起きるのでしょうか？こういった事もできれば教えて頂けますと嬉しいです。

絞り羽の固着

一般的なレンズは鏡胴内部にフォーカス調整機構と絞り羽ユニット機構という二つの駆動系部位が組み込まれています。絞り羽ユニット機構の不具合は殆どのケースが解放状態のまま固着してしまいます。フォーカス調整機構螺旋状部グリスが絞り羽ユニット機構に流れ落ちてしまう事が主な原因になりますが、油分を含んだ汚れ以外もその原因になります。この機構はスプリングとの力関係が微妙で、その個体により何が原因なのかは一概には特定できませんが、付着している汚れ全般を除去すれば駆動は復元します。只、この様な傾向にある個体は処置後も同様な症状に再度なってしまう危惧を孕んでいますので注意が必要です。

機種名	Nikon AF Nikkor 20mm F2.8 D
シリアルNO	335638
付属品	前後キャップ
課題（所有者さん見解）	絞り羽根が開放のまま絞りリングを回しても動きません。

修理報告

絞り羽ユニット機構に付着していた油分を含む汚れ除去処置施しました。その動作は復元しています。鏡胴内部に組み込まれているフォーカス調整機構螺旋状部のグリスが落ちてこの様な症状になってしまうのですが、この様な症状になってしまう個体は今後も同じ状態になってしまう危惧を孕んでおります。今後同じ様な状態になってしまったら、こちらにお問い合わせ下さい。無償にて対応させて頂きます。光学系付着物除去致しました。レンズ全体としての光学的なクリアー度は復元しています。只、付着していたカビが腐蝕カビで、除去後の腐蝕痕が残ります。この点ご了承お願い致します。外観等状態の良いレンズです。今まで同様大切にご所有下さい。整備工程にていくつかの写真UPしておきますので併せてご参照下さい。

参考写真

納品に関しまして

※お願い・・・銀行お振込み頂きましたら、その旨メールにてお知らせ頂けますと幸いでございます。確認後速やかに納品させて頂きます。

ご決済に関しまして

ご縁ございましたら、今後もお付き合い・ご指導宜しくお願い申し上げます。
（一社）日本レンズ協会 代表理事 田斉 健輔