Olympus OM Zuiko Shift 35mm F2.8 修理記録

このレンズの機種名になっているShiftとは、シフトレンズの事で、別名＝あおりともいわれています。被写体からの光軸を平行に移動することにより、遠近差による歪みを補正する仕組みのことを指します。例えば、引きの少ない場所での室内や、建物などを歪み無く撮る撮影や、意外にも大勢の集合写真にも使える機能で、アイデア次第では、シフトレンズの活用シーンはいろいろあるという話を、懇意にしている写真家から聞いたことがあります。

Olympus OM Zuiko Shift 35mm F2.8という機種の修理依頼件数が少ない事から推測すると、市場に出回っている個体数が少ない部類の機種なのかもしれないと感じています。写真家の間では、愛称＝おこぜとう名称で親しまれていて、見た目からして、普通の35mmではない外観を持ったレンズで、黒くてごつごつしたところがまさに魚のおこぜを連想させられるのでしょう。

レンズ検査ご依頼までの流れ（経緯）

今回のご依頼はメールにて受け付けましたので、その内容を簡潔にまとめました。

レンズ内ほこりが多く、黒いほこりや線状のほこりが多数あります。今まで問題なく使えていましたが、汚れが気になり始めたので、メールしました。Olympus OM Zuiko Shift 35mm F2.8という機種ですが、扱いが少し難しい様に感じていますが、現状実写には問題はないと思っています。昔、購入したレンズですから、修理の範囲で綺麗にしてもらえれば嬉しいです。

機種名	Olympus OM Zuiko Shift 35mm F2.8
シリアルNO	108217
付属品	前後キャップ、フィルター、ケース
課題（所有者さん見解）	レンズ内ほこりが多く、黒いほこりや線状のほこりが多数あります。

修理報告

鏡胴内部全てのレンズ表面に埃・カビの付着がありました。全て除去できていますので、レンズ全体としての光学的なクリアー度は復元しています。点カビの一部が腐食カビで、除去後の腐蝕痕が残ります。この点ご了承お願い致します。又、お電話にてもお伝え致しましたが、【黒いホコリ】に該当する付着物は確認できませんでした。

通常、付着物は目視的には【白色】に映ります。黒色の付着物は、コバ剥がれか、昆虫の死骸のケースの2パターンになりますが、今回の検査ではどちらの付着物も確認できませんでした。この点も併せてご了承下さい。又、今回の整備工程にて撮影した光学系付着物の写真等もご参照下さい。