お問い合わせのお返事

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全国の写真愛好家の方々から日々様々なお問い合わせメールやお電話を頂きまして、誠にありがとうございます。お問い合わせ頂きました方には必ずお返事をさせて頂いておりますが、お問い合わせ内容と、こちらからのお返事が少し複雑なケースの場合は、単にお問い合わせメールに返信する形式ではなくて、今回の様に専用通信サイトを活用するケースもございます。なるべく解りやすいお返事をさせて頂きたいので、お時間ございます時にご一読頂けますと幸いでございます。尚、このWebサイトはWeb上で公開されますが、お問い合わせ頂きました方の氏名及びメールアドレス等の個人情報は一切公開されない様、記載する文章等には気を配っておりますので、その点に関しましてはご安心下さい。

メールでのお問い合わせ

メールにてのお問い合わせ

日本レンズ協会 田斉様、
この度はマミヤセコール 80ミリF1・9の質問に関して迅速に返信をいただき大変感謝いたします。また、数々の事例をご紹介いただいている丁寧な内容に感銘を受けました。私の方はそれに対してのお返事が大幅に遅れてしまい大変恐縮です。ご指摘いただいている通り、原因はレンズの張り合わせ素材の劣化ではないかと私も理解いたしました。

じつは先日東京に行った際に、新宿の北村写真機店でレンズを見て頂き、盛大に曇ってますね、と言われました。修理可能かどうか、工場に出してみないとわからないとのことでしたのでせっかく東京まで出てきたのだからと、ネットで調べた大久保の山崎工学研究所に飛び込んで見てただいたところ、こちらの会社はオールドレンズ専門とのことで仮に直したとしても6万くらい(レンズを買った値段と同じくらい)かかるかもしれないとのことでメーカーに連絡する方が安いのでは、と提案されました。

頂いた写真①
頂いた写真①

またそこで直すレンズは100万近いレンズを扱ってるようでして、5、6万のレンズを持参した自分が(何も知らなくて)少し恥ずかしくなりました。その場ですぐに調べてマミヤ(現フェーズワン)に電話したところ、修理サービスは既に終了、愛知県の会社を紹介されましたが基本的には部品交換となるが、現在在庫がない、という結果になりました。

頂いた写真②
頂いた写真②


アマゾンでレンズオープナーを購入しなんとなく分解していきましたところ、前玉は本当に美品でして問題がなく、後玉のみが問題でしたので、これをまたレンズオーオープナーで分解しました。すると、どうしても分解できないところまで来まして、おそらくこれが貼り合わせているレンズではないかと思われます。現状この部分を剥がす術がありませんので、
1)曇りが気にならない・くもりを生かした撮り方を見つけてASISで使いながら
2)他にジャンク品を見つけこの部分と交換するか
3)勉強の為いつかダメ元で剥がしてみる
という感じでレンズを使用し続けております。

頂いた写真③
頂いた写真③

私は職業カメラマンでして、オールドレンズの世界にはあまり触れてこない人生でしたが、いくつか古いニコンレンズをレンズアダプターで使用する機会があったことで数十年前のマニュアルレンズの描写性能の良さだけでなく、携帯性と理に適ったデザイン性に虜になり始めました。いままでレンズは良い状態のものをお店で購入してまして、オークションで買うのは初めてでした。文言を信用してしまいこのようなことになりましたが、これを機に人生で初めてレンズを自分で分解してみたりまた田斉様をはじめとしてオールドレンズ に関わるたくさんのひとに温かい助言を頂けたことに感動いたしました。その後、オールでレンズ関係のムックなどの書物を4冊ほど購入し少しずつ勉強を始めました。

頂いた写真④
頂いた写真④

日本レンズ協会様のホームページと、動画でのご説明は大変意義あるものだと感じます。この度は大変貴重な助言をいただき誠にありがとうございます。今後も勉強のため御機構のホームページを拝見させていただこうと存じます。今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。

自己所有のレンズ=自分で整備

本来であれば、ご自身で所有されているレンズは、所有者さんがご自宅で整備できる様になるのが理想的です。最近の機種は便利なAF機構が組み込まれていますので、製造元さんが販売後の修理を前提としていない構造になっていますが、中判レンズを含む一般的なオールドレンズは、構造を理解できていれば修理=整備そのものはそんなに難しくありません。

修理

送信添付して頂きました写真④は合成レンズですので、この部位は最小単位の部位になり、その貼り合わせ面にて白濁現象が進行しているケースだと診断致します。この症状は一般的な付着物ではないので、除去は難しいです。遜色のない同規格部位交換がベストなのですが、そんなに都合よく該当部位を入手できないのが光学機器修理の世界の実情でございます。75℃くらいのお湯に該当部位を3分間くらい浸け込み、水道水の流水で冷やすと「パキッ」という音と共に、2枚の硝子玉は剥がれます。その貼り合わせ面をクリーニングして、再度貼り合わせればクリーンな状態に復元します。でも、この処置を施すと時々光学系数値に狂いが出てしまう事がありますので、現在当協会ではこの整備は行なっておりません。どうかご了承お願い致します。

技術サポート

ご所有のレンズを自分で整備できる様になりたいという写真愛好家の方や、光学機器の修理に関する知識・技術・経験を生かした仕事がしたいという生徒さんの為に、当協会では技術サポートをおこなっております。ご自身で情報を収集して独学で学習されたい読者さんを想定して、関連書籍を出版したり、当協会公式サイト内に関連コンテンツを沢山盛り込んでまいりました。全国の写真愛好家の方からの修理依頼品に関しましても、修理して納品するだけではなくて、該当機種の整備内容を写真と動画で解説する修理記録台帳も管理・報告させて頂いております。

レンズ修理工程

修理の世界は完全なクローズトの世界で、皆さんあまり作業場での所作を公開しません。世にあるオールドレンズを修理の範疇で整備して、全国の写真愛好家の方々に、安心して購入・使用・所有して頂く事・・・が当協会のミッションですので、修理に関する様々なコンテンツをオープンにしてクラウド上で公開しております。読者さんにとって有意義な内容のコンテンツもあるかもしれませんので、お暇な時にでも覗いてみて下さい。

ご縁ございましたら今後もお気軽にお問い合わせ下さい。お役にたてることがあるかもしれません。

メールでのお問い合わせ

今回のお問い合わせはメールにて受け付けましたので、その内容を簡潔にまとめました。

メールにてのお問い合わせ

お世話になります。マミヤセコール80mm1.9とネット検索したところ御社事例のページに引っ掛かりご連絡した次第であります。先日ヤフオクにて購入致しました上記レンズ、「極上美品」59800円、を購入したところ、確かに極上の美品でしたが、ファインダーを覗くともやがかってる感がありました。前玉は透き通っており問題ない様ですが取り出してみると後玉にクモリがある様に思えました。

清掃してみて後玉の前後は問題がなく、後玉群の中のいずれかが曇っております。このクモリ方が均一なクモリ(非常に薄いディフューザーのような)ですカビの様には見えません。上がってくる写真はミストフィルターをかけた様に写ります。ちなみに私は素人でレンズに関して知識がない方ですので上記の様な表現しかできません。またマミヤのレンズに関しても造形がなく、上記の様な症状は仕様なのか、あるいはクモリであるかの判断もつきません。ただ私が所有しているどんな35mmマニュアルレンズよりも、曇っている感じがします。そこで質問ですが、

1)このレンズは後玉が少し曇っていてそれゆえによく言えばミストフィルターの様な効果がある、という仕様でしょうか?

2)クモリ?が仕様でない場合、後玉群を分解して綺麗にできるものでしょうか?
こちらもしお願いするとしたら費用はどれくらいになりますでしょうか?

お忙しいところ長文恐縮です。どうぞ宜しくお願い致します。

お返事

とても詳細にご所有のレンズに関して説明して頂きましてありがとうございます。主に2点に関しましてお答えさせて頂きたいと思います。

1)このレンズは後玉が少し曇っていてそれゆえに  よく言えばミストフィルターの様な効果がある、という仕様でしょうか?

A)曇り(白濁)の濃さは個体差がありますが製造段階にて意図的(仕様として)に組み込むという様な所作は施している機種はありません。白濁の症状は、カビの様な光学系付着物か合成レンズの貼り合わせ面にて起きているのが主な二つの原因になります。
硝子の色に関しましては、コーテイングされた個体とブラウニング現象の二つが挙げられますが、ブラウニング現象に関しましては、Asahi SMC Takumar 6×7 105mm F2.4 修理記録にて少し詳しく解説しておりますので、宜しければご参照下さい。

Asahi SMC Takumar 6×7 105mm F2.4
Asahi SMC Takumar 6×7 105mm F2.4

2)クモリ?が仕様でない場合、後玉群を分解して綺麗にできるものでしょうか?こちらもしお願いするとしたら費用はどれくらいになりますでしょうか?

A)白濁の原因が光学系付着物でしたら、課題が解決するケースはあります。もう一つの原因として、最小ユニット合成レンズ貼り合わせ面にて起きている場合ですが、これは付着物ではないので除去できません。2枚のレンズを剥がしてクリーニングし、理論上は再度貼り合わせればクリアーになるのですがこの処置を施すと、稀に光学系数値に狂いが発生します。例えば方ボケが生じたり、無限遠に支障が出る事があります。なので、現在は当協会ではこの処置は施しておりません。天然樹脂素材流動性粘着物自体の劣化が原因ですので遜色のない同規格部位交換を要しますが、該当部位の入手が困難なのが実情でございます。

合成レンズの一例写真

Yashica ML 35mm F2.8 合成レンズ
Yashica ML 35mm F2.8 合成レンズ
Ernst Leitz Wetzlar Summitar 5cm F2 白濁
Ernst Leitz Wetzlar Summitar 5cm F2 白濁
Yashica Yashinon-DX 135mm F2.8 合成レンズ④
Yashica Yashinon-DX 135mm F2.8 合成レンズ
Ricoh GR 21mm F3.5 合成レンズ
Ricoh GR 21mm F3.5 合成レンズ

様々な機種で合成レンズが組み込まれていますが、目視しただけではこの白濁が果たして、カビ等の光学系付着物が原因なのか、貼り合わせ面にて起きている現象なのかはパッと見では識別できません。該当部位単体で診断するしか方法はありません。

Mamiya-Sekor C 80mm F1.9修理記録台帳

当協会の修理記録台帳に、今回お問い合わせ頂きましたレンズと同機種と思われる記録記事がございます。このレンズの場合は、付着していたカビを除去する事で課題は解決したケースになります。宜しければ併せてご参照下さい。

Mamiya-Sekor C 80mm F1.9
Mamiya-Sekor C 80mm F1.9

今回お問い合わせ頂きましたメール文章内容にどこまでお答えできたかの自信はございませんが、直接該当個体をお互いが見ながら、実際にお会いしてお話が難しいので、リモートでのメールのやり取りで100%のお答えができません事ここにお詫び申し上げます。ご縁ございましたら、今後もお気軽にお問い合わせ下さい。

kensuke tasai と申します。 光学機器の修理を主たる業務としております。 関連コンテンツも並行して配信させて頂いておりますので、リクエストございましたら、お気軽にお問い合わせ下さい。