Ricoh Rikenon P 55mm F1.2 修理報告

Ricoh Rikenon P 55mm F1.2

お預かりしておりました、Ricoh Rikenon P 55mm F1.2レンズ修理の範疇にて修理致しましたので、下記報告致します。今回お預かりいたしましたレンズは、こちらで必要な処置を完結し、その後納品するという通常の納品形態をとるのは難しいです。中途半端な状態での納品になってしまいました事、どうかご了承お願い申し上げます。

絞り羽ユニット機構、整備後段階では、調整ダイヤル指標値1.2から16の区間全領域にて絞り羽フイルム本体開閉に連動していますが、処置後2・3日経過観察をしましたが、やはり固着してしまう時があります。

いつまでもこちらでお預かりしておく訳にもいきませんので、お電話にて指示を仰いだ次第でございます。ご自宅で時間をかけて少しづつ整備して頂くしか方法はありませんので、何卒ご協力お願い申し上げます。簡易的な手順は動画にて解説いたしましたが、パスワードはレンズ発送時のご案内メールに記載致しましたので、ご確認お願い致します。

レンズ検査ご依頼までの流れ(経緯)

頂いたメール

リコー rikenon 55mm F1.2(Kマウント)の修理を依頼したいです。絞り羽根動作しない状態です。絞りリングを回しても開放のままになります。同じ機種を修理されているページを拝見致しましてご相談に参りました。よろしくお願い致します。

お返事メール

○○様
症状の具体的な説明ありがとうございます。
この症状になってしまう原因は、フォーカス調整機構螺旋状部グリスにあります。
今回お問い合わせ頂いた機種以外でも散見されます。絞り羽ユニットBoxに付着した油分を含む汚れを除去すれば、駆動は復元するケースが殆どです。
只、その個体の属性によっては、復元した駆動が再度同じ様に固着しいてしまう事があります。グリスが流れ落ちやすい傾向の個体特有の現象です。
その場合は、簡易的な処置で駆動が復元します。こちらで整備後、ご自宅でこの様に時々整備して頂く事になります。
一般的なレンズは、鏡胴内部にフォーカス調整機構と絞り羽ユニット機構が隣接していますので、この様な症状を誘発します。
こちらで整備後のご自宅でできる簡易的な処置方法は簡単で、こちらで解説動画を収録致しますので、どなたでも処置が施せると思います。
何れに致しましても、岸様の大切な光学機器です。業者さんの選定等、充分にご検討下さい。

(一社)日本レンズ協会 代表理事 田斉健輔

頂いたメール

日本レンズ協会 田斉様
ご回答ありがとうございます。日本レンズ協会殿の動画をみさせていただきまして、後玉を外して行うメンテナンスを試みたのですが、上手く復元できなかったため相談させていただきました。修理後のメンテンナンスについてもアドバイスいただけると言うことですので、是非修理をお願いしたいです。よろしくお願い致します。

お返事メール

○○ 様

おはようございます。当協会で宜しければ、○○ 様のご都合の宜しい時にこちらまでご送付下さい。

1、到着致しましたら、順次開封、初見致します。
2、その結果を報告致します。
3、その際、具体的なお見積もり額も提示致します。
4、その上で、具体的な処置を施します。

この様な流れになります。

尚、何だかの理由で具体的な処置が施せないと診断した場合は、検査報告費(一律)2,000円(税込)がご負担になってしまいます。

この点もご考慮お願い申し上げます。

(一社)日本レンズ協会 田斉

頂いたメール

日本レンズ協会 田斉様
検査報告費について承知いたしました。お問い合わせしたレンズについて、本日お送りさせていただきました。
・業者:ヤマト運輸・送り状番号:4589-3635-2700
お受け取り、お見積の程よろしくお願い致します。

お返事メール

○○様
レンズ到着致しました。ご安心下さい。順次、開封・初見させて頂きます。
その後、検査結果及び具体的なお見積もり額に関しまして、メール若しくはお電話にてご報告させて頂きます。
お電話の場合は、
・047-386-5353(協会固定)
・090-9829-0696(田斉携帯)
どちらかの着信があると思います。
その節は、宜しくお願い致します。
納期に関しましては概ね2週間程お時間を頂いております。

(一社)日本レンズ協会 田斉

Ricoh Rikenon P 55mm F1.2 順番に検査
Ricoh Rikenon P 55mm F1.2 順番に検査
レンズ機種Ricoh Rikenon P 55mm F1.2
シリアルNO9460879
付属品前後キャップ
課題(所有者さん見解)絞り羽根動作しない状態です。絞りリングを回しても
開放のままになります。同じ機種を修理されているページを
拝見致しましてご相談に参りました。

Ricoh Rikenon P 55mm F1.2 点カビ
Ricoh Rikenon P 55mm F1.2 点カビ

修理報告

絞り羽フイルム本体が、絞り羽ユニットBOXに収納されたままの状態で(解放)固着していた原因は、フォーカス調整機構螺旋状部グリスの影響です。一応、修理の範疇にて油分を含む汚れの除去処置を施しましたので、処置後段階では、絞り羽ダイヤル指標値1.2から16の値まで全領域にて、フイルム本体の開閉に駆動が連動しています。

でも、この様な症状になってしまう個体は、今後同じ様な現象が再現される傾向があります。その場合は、ご自宅でできる簡易的な処置方法を動画で解説しましたので、折に触れご自身でも整備して頂きます様お願い致します。尚、光学系付着物も除去しておきましたので、現段階でカビ等の付着物はありません。

只、合成レンズ貼り合わせ面の天然樹脂素材流動性粘着物自体の劣化が進行しています。これ以上、白濁が濃くなってしまうと、実写に影響が出てしまうと推測致します。この症状は、付着物ではないので、除去できません。ご了承お願い致します。

Ricoh Rikenon P 55mm F1.2 白濁
Ricoh Rikenon P 55mm F1.2 白濁

何故、絞り羽が解放のまま固着してしまうのか?

レンズの鏡胴内部には、単焦点の場合フォーカス調整機構と、絞り羽ユニット機構の二つが組み込まれています。勿論、その他にも光学的なガラス玉も存在します。フォーカス調整機構は、主にアルミと真鍮素材の金属で螺旋状部が構成されていますが、適切なトルク感を醸し出す為に、同時に金属の摩耗を防ぐ為に、グリスが添付されています。

このフォーカス調整機構はウエット状態が理想的な状態になります。一方。絞り羽ユニット機構は完全に乾いた状態を好みます。殆どの機種が、スプリングによって、常に解放状態をキープする構造に設定されています。そこに、フォーカス調整機構から流れ落ちてきた、汚れを含む油分が付着すると、今回お預かりした様な、解放状態で固着する現象になってしまいます。

全く同じ機種でも、この様な症状にならない個体もありますので、何故ある個体だけがこの様な症状になってしまうのかは、科学的には判明していません。今回お預かり致しましたレンズは、絞り羽ユニット機構全体の部位に油分を含む汚れが付着していて、強い力で除去できないので、少しづつ汚れを浮き上がらせて、時間をかけてドライな状態に持っていくしかありませので、ご協力をお願い致します。

納品に関しまして

※クロネココレクト便(代引きシステム)にて発送致します。

発送方法クロネココレクト便
送り状NO3795ー8764ー3455
配送状況お荷物追跡システム

ご決済に関しまして

整備費レンズ×1本合計=7,000円(税込)
決済方法代引き
送料神奈川県・60サイズ(一律)=850円
代引き手数料330円(内消費税=30円)
合計金額8,180円

ご自宅できる簡易的な処置方法解説補足動画

個人的な趣味で、水の研究をしております。作業場に複数の水槽がありまして、飼育水槽から観賞水槽に水を送る水中ポンプの音も収録されてしまいます。ご了承お願い致します。

ご縁ございましたら、今後もお付き合い・ご指導宜しくお願い申し上げます。
(一社)日本レンズ協会 代表理事 田斉 健輔

kensuke tasai と申します。 光学機器の修理を主たる業務としております。 関連コンテンツも並行して配信させて頂いておりますので、リクエストございましたら、お気軽にお問い合わせ下さい。